6.3. データベースアクセス(JPA編)¶
Todo
TBD
本章では以下の内容について、現在精査中である。
persistence.xml
の設定項目について。- QueryDSLを使用した動的Queryの実装方法について。
- 関連エンティティのfetch方法を指定する設定値をデフォルト値から変更した方がよいケースの具体例について。
- 複数のPersistenceUnitを使用する方法について。
- Nativeクエリの使用方法について。
6.3.1. Overview¶
Warning
本節で説明した内容がEclipseLinkなど、Hibernate以外のJPAプロバイダでも動作することは保証しない。
6.3.1.1. JPAについて¶
JPA(Jakarta Persistence API)は、リレーショナルデータベースで管理されているレコードを、Javaオブジェクトにマッピングする方法と、マッピングされたJavaオブジェクトに対して行われた操作を、リレーショナルデータベースのレコードに反映するための仕組みをJavaのAPI仕様として定義したものである。
6.3.1.1.1. JPAのO/R Mapping¶
JPAを使用した際の、リレーショナルデータベースで管理されているレコードとJavaオブジェクトは、以下のようなイメージでマッピングされる。
6.3.1.1.2. JPAの基本用語¶
以下に、JPAを使う上で、最低限知っていてほしい用語について、簡単に説明する。
項番
用語
説明
Entityクラス リレーショナルデータベースで管理されているレコードを表現するJavaクラス。@jakarta.persistence.Entity
アノテーションを付与されたクラスが、Entityクラスとなる。
EntityManager Entityのライフサイクルを管理するために、必要なAPIを提供するインタフェース。アプリケーションは、jakarta.persistence.EntityManager
のメソッドを使用して、リレーショナルデータベースで管理されているレコードを、Javaオブジェクトとして操作する。Spring Data JPAを使う場合は、直接、使用することはないが、Spring Data JPAの仕組みでは表現できないような、Queryを発行する必要がある場合は、このインタフェースを経由してEntityを取得することになる。
TypedQuery Entityを検索するためのAPIを提供するインタフェース。アプリケーションは、jakarta.persistence.TypedQuery
のメソッドを使用して、ID以外の条件に一致するEntityを検索する。Spring Data JPAを使う場合は、直接使用することはないが、Spring Data JPAの仕組みでは、表現できないようなQueryを発行する必要がある場合は、このインタフェースを使用してEntityを検索することになる。条件に一致する永続層(DB)のEntityを直接操作(更新または削除)するためのメソッドもこのインタフェースに用意されている。
PersistenceContext Entityを管理するための領域。EntityManager
を経由して取得または作成されたEntityは、この領域に格納されてライフサイクル管理される。この領域で管理されているEntityの事を「管理状態のEntity」と呼ぶ。この領域は、アプリケーションから直接アクセスすることはできない。Entityの状態は「管理状態」以外に、「作成状態」「削除状態」「分離状態」が存在する。
findメソッド 管理状態のEntityを取得するためのメソッド。IDに対応するEntityがPersistenceContextに存在しない場合は、リレーショナルデータベースに格納されているレコードを取得(SELECT)し、管理状態のEntityを生成する。
persistメソッド アプリケーションで作成した作成状態のEntityを、管理状態のEntityにするためのメソッド。EntityManager
のメソッドとして提供されており、リレーショナルデータベースにレコードのINSERTを実行するための操作がPersistenceContextに蓄積される。
mergeメソッド PersistenceContextで管理されていない分離状態のEntityを、管理状態のEntityにするためのメソッド。EntityManager
のメソッドとして提供されており、基本的にはリレーショナルデータベースに格納されているレコードに対して、UPDATEを実行するための操作がPersistenceContextに蓄積される。ただし、リレーショナルデータベースにIDに一致するレコードが存在しない場合は、UPDATEではなくINSERTが実行される。
removeメソッド 管理状態のEntityを、削除状態のEntityにするためのメソッド。EntityManager
のメソッドとして提供されており、リレーショナルデータベースに格納されているレコードに対して、DELETEを実行するための操作がPersistenceContextに蓄積される。
flushメソッド PersistenceContextで管理されているEntityに対して行われた操作を、リレーショナルデータベースに強制的に反映するためのメソッド。EntityManager
のメソッドとして提供されており、蓄積された未反映の操作をリレーショナルデータベースに対して実行する。通常、リレーショナルデータベースへの反映は、トランザクションコミット時に行われるが、コミットより前に反映する必要がある場合は、メソッドを使用する。
6.3.1.1.3. Entityのライフサイクル管理¶
Entityのライフサイクル管理イメージは、以下の通りである。
項番
説明
(1)EntityManager
のpersistメソッドを呼び出すと、引数に渡したEntity(作成状態のEntity)が、管理状態のEntityとして、PersistenceContextに格納される。 (2)EntityManager
のfindメソッドを呼び出すと、引数に渡したIDをもつ管理状態の、Entityが返却される。PersistenceContextに存在しない場合は、Queryを発行して、リレーショナルデータベースよりマッピング対象のレコードを取得し、管理状態のEntityとして格納する。 (3)EntityManager
のmergeメソッドを呼び出すと、引数に渡したEntity(分離状態のEntity)の状態が、管理状態のEntityにマージされる。PersistenceContextに存在しない場合は、Queryを発行してリレーショナルデータベースよりマッピング対象のレコードを取得し、管理状態のEntityを格納した後に、引数に渡されたEntityの状態がマージされる。このメソッドを呼び出した場合、persistメソッドとは異なり、引数に渡したEntityが管理状態のEntityとして格納されるわけではないという点に注意すること。 (4)EntityManager
のremoveメソッドを呼び出すと、引数に渡した管理状態のEntityが削除状態のEntityとなる。このメソッドを呼び出した場合、削除状態となったEntityを取得することはできなくなる。 (5)EntityManager
のflushメソッドを呼び出すと、persist、merge、removeメソッドによって、蓄積されたEntityへの操作が、リレーショナルデータベースに反映される。このメソッドを呼び出すことで、Entityに対して行った変更内容が、リレーショナルデータベースのレコードに同期される。ただし、リレーショナルデータベース側のレコードに対してのみ行われた変更は、Entityには同期されないEntityManager
のfindメソッドを使わずにQueryを発行してEntityを検索すると、検索処理を行う前に、EntityManager
内部の処理でflushメソッドと同等の処理が実行され、蓄積されていたEntityへの操作がリレーショナルデータベースに反映される仕組みになっている。Spring Data JPAを使用した際の永続操作の反映タイミングについては、を参照されたい。Note
他のライフサイクル管理用のメソッドについて
EntityManager
には、Entityのライフサイクルを管理するためのメソッドとして、detachメソッド、refreshメソッド、clearメソッドなどがあるが、Spring Data JPAを使用する場合、デフォルトの機能で、これらのメソッドを呼び出す仕組みが存在しないため、メソッドの役割のみ説明しておく。
detachメソッドは、管理状態のEntityを分離状態のEntityにするためのメソッド。
refreshメソッドは、管理状態のEntityをリレーショナルデータベースの状態で最新化するためのメソッド。
clearメソッドは、PersistenceContextで、管理されているEntityおよび蓄積された操作をメモリ上から破棄するためのメソッド。
clearメソッドについては、Spring Data JPAより提供されている
@Modifying
アノテーションのclearAutomatically属性を、true
に設定することで、呼び出すことができる。詳細については、永続層のEntityを直接操作するを参照されたい。
Note
作成状態と分離状態のEntityへの操作について
作成状態のEntityや、分離状態のEntityに行った操作は、persistメソッドまたはmergeメソッドを呼び出さないと、リレーショナルデータベースには反映されない。
6.3.1.2. Spring Data JPAについて¶
Spring Data JPAは、JPAを使ってRepositoryを作成するための、ライブラリを提供している。
Spring Data JPAを使ってデータベースにアクセスする際の基本フローを以下に示す。
項番
説明
(1) Serviceから、Repositoryインタフェースのメソッドを呼び出す。メソッドの呼び出しパラメータとして、Entityオブジェクト、EntityのIDなどが渡される。上記例ではEntityを渡しているが、プリミティブな値となることもある。 (2) Repositoryインタフェースを動的に実装したProxyクラスは、org.springframework.data.jpa.repository.support.SimpleJpaRepository
や、 カスタムRepositoryクラスに処理を委譲する。Serviceから指定されたパラメータが渡される。 (3) Repositoryの実装クラスは、JPAのAPIを呼び出す。Serviceから指定されたパラメータや、Repositoryの実装クラスで生成したパラメータなどが渡される。 (4) HibernateのJPA参照実装は、 HibernateのコアAPIの処理を呼び出す。Repositoryの実装クラスから指定されたパラメータやHibernateのJPA参照実装のクラスで生成したパラメータなどが渡される。 (5) HibernateのコアAPIは、指定されたパラメータからSQLとバインド値を生成しJDBCドライバに渡す。(実際の値のバインドは、java.sql.PreparedStatement のAPIが使われている) (6) JDBCドライバは、渡されたSQLとバインド値をデータベースに送信することで、SQLを実行する。
6.3.2. How to use¶
6.3.2.1. pom.xmlの設定¶
インフラストラクチャ層にJPA(Spring Data JPA)を使用する場合、以下のdependencyを、pom.xmlに追加する。
<!-- (1) --> <dependency> <groupId>org.terasoluna.gfw</groupId> <artifactId>terasoluna-gfw-jpa-dependencies</artifactId> <type>pom</type> </dependency>
項番
説明
(1) JPAに関連するライブラリ群が定義してあるterasoluna-gfw-jpa-dependencies
を、dependencyに追加する。Note
上記設定例は、依存ライブラリのバージョンを親プロジェクトである terasoluna-gfw-parent で管理する前提であるため、pom.xmlでのバージョンの指定は不要である。
6.3.2.2. アプリケーションの設定¶
6.3.2.2.1. データソースの設定¶
6.3.2.2.2. EntityManagerの設定¶
EntityManager
を使用するための設定を行う。ここではJPA用のブランクプロジェクトの設定をもとに解説を行う。
XxxInfraConfig.java
@Configuration public class XxxInfraConfig { // (1) @Bean("jpaVendorAdapter") public HibernateJpaVendorAdapter jpaVendorAdapter() { HibernateJpaVendorAdapter bean = new HibernateJpaVendorAdapter(); bean.setDatabase(Database.POSTGRESQL); // (2) return bean; } // (3) @Bean("entityManagerFactory") public LocalContainerEntityManagerFactoryBean entityManagerFactory( @Qualifier("dataSource") DataSource dataSource) { LocalContainerEntityManagerFactoryBean bean = new LocalContainerEntityManagerFactoryBean(); bean.setPackagesToScan("xxx.yyy.zzz.domain.model"); // (4) bean.setDataSource(dataSource); // (5) bean.setJpaVendorAdapter(jpaVendorAdapter()); // (6) Map<String, Object> param = new LinkedHashMap<String, Object>(); param.put("hibernate.connection.charSet", "UTF-8"); param.put("hibernate.format_sql", false); param.put("hibernate.use_sql_comments", true); param.put("hibernate.jdbc.batch_size", 30); param.put("hibernate.jdbc.fetch_size", 100); bean.getJpaPropertyMap().putAll(param); // (7) return bean; }
項番
説明
(1)JPAプロバイダが提供する実装クラスとのアダプタクラスを指定する。JPAプロバイダとしてHibernateを使用するため、org.springframework.orm.jpa.vendor.HibernateJpaVendorAdapter
を指定する。(2)使用するRDBMSに対応する値を設定する。org.springframework.orm.jpa.vendor.Database
列挙型に定義されている値を指定することができる。設定例では「PostgreSQL」を指定している。【プロジェクトで使用するデータベースに対応する値に変更が必要】環境によって使用するデータベースが変わる場合は、プロパティファイルに値を定義すること。(3)jakarta.persistence.EntityManagerFactory
のインスタンスを作成するFactoryBeanのクラスを指定する。ここでは、org.springframework.orm.jpa.LocalContainerEntityManagerFactoryBean
を指定している。(4)Entityクラスが格納されているパッケージを指定する。指定したパッケージに格納されているEntityクラスが、jakarta.persistence.EntityManager
で管理することができるEntityクラスとなる。【プロジェクトのパッケージに変更が必要】(5)永続層(DB)にアクセスする際に使用するデータソースを指定する。設定済みのデータソースのbeanを指定する。(6)JpaVendorAdapter
のbeanを指定する。(1)で設定済みのbeanを指定する。(7)Hibernateから提供されているEntityManager
の動作設定を指定する。この設定例はJPA用のブランクプロジェクトで設定されているものであるため、プロジェクトの要件に合わせて設定を変更されたい。詳細については「Developing Hibernate Applications」を参照されたい。
ここではJPA用のブランクプロジェクトの設定をもとに解説を行う。
xxx-infra.xml
<!-- (1) --> <bean id="jpaVendorAdapter" class="org.springframework.orm.jpa.vendor.HibernateJpaVendorAdapter"> <!-- (2) --> <property name="database" value="POSTGRESQL" /> </bean> <!-- (3) --> <bean id="entityManagerFactory" class="org.springframework.orm.jpa.LocalContainerEntityManagerFactoryBean"> <!-- (4) --> <property name="packagesToScan" value="xxx.yyy.zzz.domain.model" /> <!-- (5) --> <property name="dataSource" ref="dataSource" /> <!-- (6) --> <property name="jpaVendorAdapter" ref="jpaVendorAdapter" /> <!-- (7) --> <property name="jpaPropertyMap"> <util:map> <entry key="hibernate.connection.charSet" value="UTF-8" /> <entry key="hibernate.format_sql" value="false" /> <entry key="hibernate.use_sql_comments" value="true" /> <entry key="hibernate.jdbc.batch_size" value="30" /> <entry key="hibernate.jdbc.fetch_size" value="100" /> </util:map> </property> </bean>
項番
説明
(1)JPAプロバイダが提供する実装クラスとのアダプタクラスを指定する。JPAプロバイダとしてHibernateを使用するため、org.springframework.orm.jpa.vendor.HibernateJpaVendorAdapter
を指定する。(2)使用するRDBMSに対応する値を設定する。org.springframework.orm.jpa.vendor.Database
列挙型に定義されている値を指定することができる。設定例では「PostgreSQL」を指定している。【プロジェクトで使用するデータベースに対応する値に変更が必要】環境によって使用するデータベースが変わる場合は、プロパティファイルに値を定義すること。(3)jakarta.persistence.EntityManagerFactory
のインスタンスを作成するFactoryBeanのクラスを指定する。org.springframework.orm.jpa.LocalContainerEntityManagerFactoryBean
を指定する。(4)Entityクラスが格納されているパッケージを指定する。指定したパッケージに格納されているEntityクラスが、jakarta.persistence.EntityManager
で管理することができるEntityクラスとなる。【プロジェクトのパッケージに変更が必要】(5)永続層(DB)にアクセスする際に使用するデータソースを指定する。設定済みのデータソースのbeanを指定する。(6)JpaVendorAdapter
のbeanを指定する。(1)で設定済みのbeanを指定する。(7)Hibernateから提供されているEntityManager
の動作設定を指定する。この設定例はJPA用のブランクプロジェクトで設定されているものであるため、プロジェクトの要件に合わせて設定を変更されたい。詳細については「Developing Hibernate Applications」を参照されたい。
EntityManagerの動作設定について
ここでは上記の設定例(7)で指定しているプロパティについて説明する。プロパティ名
説明
hibernate.connection.charSet
JDBC接続時の文字エンコーディングを指定する設定。hibernate.format_sql
発行されたSQLを出力する際に、読みやすい形にフォーマットする設定。hibernate.use_sql_comments
発行されたSQL内にコメントを生成するデバック用の設定。実行されたSQLからJPQLを特定する際などは有効にしておくと効率的である。本番環境では、コメントの生成によるオーバーヘッドを考慮した上で必要に応じて設定されたい。hibernate.jdbc.batch_size
JDBCのバッチサイズを指定する設定。hibernate.jdbc.fetch_size
JDBCのフェッチサイズを指定する設定。Note
EntityManager
の動作設定でhibernate.use_sql_comments
にtrue
を指定する場合、利用しているHibernateのバージョンによってはCVE-2020-25638で報告されているセキュリティの脆弱性が発生する可能性がある。なお、TERASOLUNA Server Framework for Java (5.x)の本バージョンで利用しているHibernateでは脆弱性の対策が行われているため
hibernate.use_sql_comments
を利用しても問題は発生しない。Tip
データベースにOracleを使う際に、テーブル結合を行うSQLにANSI標準のJOINを使用したい場合は、(7)の
jpaPropertyMap
に、以下の設定を指定することで実現できる。@Bean("entityManagerFactory") public LocalContainerEntityManagerFactoryBean entityManagerFactory( @Qualifier("dataSource") DataSource dataSource) { Map<String, Object> param = new LinkedHashMap<String, Object>(); // omitted param.put("hibernate.dialect", "org.hibernate.dialect.OracleDialect"); // (8) bean.getJpaPropertyMap().putAll(param); return bean; }
項番
説明
(8)hibernate.dialect
にorg.hibernate.dialect.OracleDialect
を指定する。OracleDialect
を指定することで、テーブル結合を行うSQLにANSI標準のJOIN句が使用される。<bean id="entityManagerFactory" class="org.springframework.orm.jpa.LocalContainerEntityManagerFactoryBean"> <!-- omitted --> <property name="jpaPropertyMap"> <util:map> <!-- omitted --> <entry key="hibernate.dialect" value="org.hibernate.dialect.OracleDialect" /> <!-- (8) --> </util:map> </property> </bean>
項番
説明
(8)hibernate.dialect
にorg.hibernate.dialect.OracleDialect
を指定する。OracleDialect
を指定することで、テーブル結合を行うSQLにANSI標準のJOIN句が使用される。
6.3.2.2.3. PlatformTransactionManagerの設定¶
ローカルトランザクションを使用する場合は、以下の設定を行う。
XxxEnvConfig.java
// (1) @Bean("jpaTransactionManager") public TransactionManager jpaTransactionManager( @Qualifier("entityManagerFactory") EntityManagerFactory entityManagerFactory) { JpaTransactionManager bean = new JpaTransactionManager(); bean.setEntityManagerFactory(entityManagerFactory); // (2) return bean; }
項番
説明
(1)org.springframework.orm.jpa.JpaTransactionManager
を指定する。 このクラスは、JPAのAPIを呼び出してトランザクション制御を行う。(2)トランザクション内で使用するEntityManager
の、Factoryを指定する。設定済みのEntityManagerFactoryのbeanを指定する。
xxx-env.xml
<bean id="jpaTransactionManager" class="org.springframework.orm.jpa.JpaTransactionManager"> <!-- (1) --> <property name="entityManagerFactory" ref="entityManagerFactory" /> <!-- (2) --> </bean>
項番
説明
(1)org.springframework.orm.jpa.JpaTransactionManager
を指定する。 このクラスは、JPAのAPIを呼び出してトランザクション制御を行う。(2)トランザクション内で使用するEntityManager
の、Factoryを指定する。設定済みのEntityManagerFactoryのbeanを指定する。
6.3.2.2.4. persistence.xmlの設定¶
LocalContainerEntityManagerFactoryBean
を使用する場合は、persistence.xml
に必ず設定しなくてはいけない設定項目はない。Todo
TBD
現時点では、
persistence.xml
に必ず設定しなくてはいけない設定項目はないが、今後増える可能性はある。また、Jakarta EEのアプリケーションサーバー上のEntityManagerFactoryを使用する場合は、
persistence.xml
に、設定が必要となると思われるので、Jakarta EEのアプリケーションサーバー上のEntityManagerFactoryを使用する場合の設定については、今後整備する予定である。
6.3.2.2.5. Spring Data JPAを有効化するための設定¶
XxxInfraConfig.java
@Configuration @EnableJpaRepositories(basePackages = "xxx.yyy.zzz.domain.repository") // (2) public class XxxInfraConfig { // omitted
項番
説明
(2)RepositoryインタフェースおよびカスタムRepositoryクラスが格納されているベースパッケージを指定する。org.springframework.data.repository.Repository
を継承しているインタフェースと、org.springframework.data.repository.RepositoryDefinition
アノテーションが付与されているインタフェースが、 Spring Data JPAのRepositoryクラスとして自動的にbean定義される。@EnableJpaRepositories
アノテーションの属性について属性として、entityManagerFactoryRef、transactionManagerRef、namedQueriesLocation、queryLookupStrategy、repositoryFactoryBeanClass、repositoryImplementationPostfixが存在する。項番
要素
説明
entityManagerFactoryRef
Repositoryで使用するEntityManager
を生成するためのFactoryを指定する。通常指定する必要はないが、EntityManager
のFactoryを複数用意する場合は、使用するbeanを指定する必要がある。transactionManagerRef
Repositoryのメソッドが呼び出された際に使用するPlatformTransactionManager
を指定する。デフォルトはtransactionManager
というbean名で登録されているbeanが使用される。使用するPlatformTransactionManager
のbean名がtransactionManager
でない場合は指定が必要である。namedQueriesLocation
Named Queryが指定されているSpring Data JPAのプロパティファイルのロケーションを指定する。デフォルトは「classpath:META-INF/jpa-named-queries.properties」が使用される。queryLookupStrategy
Queryメソッドが呼び出された特に実行するQueryをLookupする方法を指定する。デフォルトはCREATE_IF_NOT_FOUND
となっている。詳細は、Spring Data Commons - Reference Documentationの “Query lookup strategies”を参照されたい。 特に理由がない場合は、デフォルトのままでよい。repositoryFactoryBeanClass
Repositoryインタフェースのメソッドが呼び出された際の処理を実装するクラスを生成するためのFactoryを指定する。デフォルトでは、org.springframework.data.jpa.repository.support.JpaRepositoryFactory
が使用される。Spring Data JPAのデフォルト実装を変更する場合や、新しいメソッドを追加する場合に作成したFactoryを指定する。新しいメソッドを追加する方法については、すべてのRepositoryインタフェースに一括で追加するを参照されたい。repositoryImplementationPostfix
カスタムRepositoryの実装クラスであることを表す接尾辞を指定する。デフォルトはImpl
となっている。例えば、Repositoryインタフェースの名前がOrderRepository
の場合は、OrderRepositoryImpl
がカスタムRepositoryの実装クラスとなる。特に理由がない場合は、デフォルトのままでよい。カスタムRepositoryについては、「Entity毎のRepositoryインタフェースに個別に追加する」を参照されたい。
xxx-infra.xml
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <beans xmlns="http://www.springframework.org/schema/beans" xmlns:jpa="http://www.springframework.org/schema/data/jpa" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="..... http://www.springframework.org/schema/data/jpa https://www.springframework.org/schema/data/jpa/spring-jpa.xsd"> <!-- (1) --> <!-- omitted --> </beans>
<jpa:repositories base-package="xxx.yyy.zzz.domain.repository" /> <!-- (2) -->
項番
説明
(1)Spring Data JPAのコンフィギュレーション用のスキーマ定義を取り込み、ネームスペースとして(jpa
)を付与する。(2)RepositoryインタフェースおよびカスタムRepositoryクラスが格納されているベースパッケージを指定する。org.springframework.data.repository.Repository
を継承しているインタフェースと、org.springframework.data.repository.RepositoryDefinition
アノテーションが付与されているインタフェースが、 Spring Data JPAのRepositoryクラスとして自動的にbean定義される。<jpa:repositories>要素の属性について
属性として、entity-manager-factory-ref、transaction-manager-ref、named-queries-location、query-lookup-strategy、factory-class、repository-impl-postfixが存在する。項番
要素
説明
entity-manager-factory-ref
Repositoryで使用するEntityManager
を生成するためのFactoryを指定する。通常指定する必要はないが、EntityManager
のFactoryを複数用意する場合は、使用するbeanを指定する必要がある。transaction-manager-ref
Repositoryのメソッドが呼び出された際に使用するPlatformTransactionManager
を指定する。デフォルトはtransactionManager
というbean名で登録されているbeanが使用される。使用するPlatformTransactionManager
のbean名がtransactionManager
でない場合は指定が必要である。named-queries-location
Named Queryが指定されているSpring Data JPAのプロパティファイルのロケーションを指定する。デフォルトは「classpath:META-INF/jpa-named-queries.properties」が使用される。query-lookup-strategy
Queryメソッドが呼び出された特に実行するQueryをLookupする方法を指定する。デフォルトはCREATE_IF_NOT_FOUND
となっている。詳細は、Spring Data Commons - Reference Documentationの “Query lookup strategies”を参照されたい。 特に理由がない場合は、デフォルトのままでよい。factory-class
Repositoryインタフェースのメソッドが呼び出された際の処理を実装するクラスを生成するためのFactoryを指定する。デフォルトでは、org.springframework.data.jpa.repository.support.JpaRepositoryFactory
が使用される。Spring Data JPAのデフォルト実装を変更する場合や、新しいメソッドを追加する場合に作成したFactoryを指定する。新しいメソッドを追加する方法については、すべてのRepositoryインタフェースに一括で追加するを参照されたい。repository-impl-postfix
カスタムRepositoryの実装クラスであることを表す接尾辞を指定する。デフォルトはImpl
となっている。例えば、Repositoryインタフェースの名前がOrderRepository
の場合は、OrderRepositoryImpl
がカスタムRepositoryの実装クラスとなる。特に理由がない場合は、デフォルトのままでよい。カスタムRepositoryについては、「Entity毎のRepositoryインタフェースに個別に追加する」を参照されたい。
6.3.2.2.6. JPAのアノテーションを使用するための設定¶
jakarta.persistence.PersistenceContext
と、jakarta.persistence.PersistenceUnit
)を使用して、 jakarta.persistence.EntityManagerFactory
とjakarta.persistence.EntityManager
をInjectするためには、org.springframework.orm.jpa.support.PersistenceAnnotationBeanPostProcessor
をbean定義する必要がある。@EnableJpaRepositories
アノテーションまたは<jpa:repositories>
要素を指定した場合、デフォルトでbeanが定義されるため、bean定義の必要はない。6.3.2.2.7. JPAの例外を DataAccessExceptionに変換するための設定¶
DataAccessException
に変換するためには、org.springframework.dao.annotation.PersistenceExceptionTranslationPostProcessor
をbean定義する必要がある。@EnableJpaRepositories
アノテーションまたは<jpa:repositories>
要素を指定した場合、デフォルトでbeanが定義されるため、bean定義の必要はない。6.3.2.2.8. OpenEntityManagerInViewInterceptorの設定¶
ControllerやJSP等のアプリケーション層でEntityのLazy Fetchを行うためには、org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewInterceptor
を使用して、EntityManager
の生存期間をアプリケーション層まで伸ばす必要がある。
OpenEntityManagerInViewInterceptor
を使用しない場合は、EntityManager
の生存期間はトランザクションと同じになるため、アプリケーション層で必要となるデータをServiceクラスの処理としてFetchするか、Lazy Fetchを使わずにEager Fetchを使用する必要がある。
下記の点から、基本的にはFetch方法はLazy Fetchとして、OpenEntityManagerInViewInterceptor
を使用することを推奨する。
Serviceクラスの処理としてFetchした場合、getterメソッドを呼び出すだけの処理やgetterメソッドへアクセスしたコレクションへのアクセスなど、一見意味のない処理を実装することになってしまう。
Eager Fetchにした場合、アプリケーション層で使用しないデータへのFetchも行われる可能性があるため、性能に影響を与える可能性がある。
以下に、OpenEntityManagerInViewInterceptor
の設定例を示す。
SpringMvcConfig.java
@EnableAspectJAutoProxy @EnableWebMvc @Configuration public class SpringMvcConfig implements WebMvcConfigurer { // omitted @Override protected void addInterceptors(InterceptorRegistry registry) { registry.addWebRequestInterceptor(openEntityManagerInViewInterceptor()) // (2) .addPathPatterns("/**") // (1) .excludePathPatterns("/resources/**") // (1) } // (2) @Bean public OpenEntityManagerInViewInterceptor openEntityManagerInViewInterceptor() { return new OpenEntityManagerInViewInterceptor(); }
項番
説明
(1)Interceptorを適用するパスと、除外パスを指定する。例では、リソースファイル(js、css、imageなど)のパス以外のリクエストに対してInterceptorを適用している。(2)org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewInterceptor
を指定する。
spring-mvc.xml
<mvc:interceptors> <mvc:interceptor> <mvc:mapping path="/**" /> <!-- (1) --> <mvc:exclude-mapping path="/resources/**" /> <!-- (1) --> <!-- (2) --> <bean class="org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewInterceptor" /> </mvc:interceptor> </mvc:interceptors>
項番
説明
(1)Interceptorを適用するパスと、除外パスを指定する。例では、リソースファイル(js、css、imageなど)のパス以外のリクエストに対してInterceptorを適用している。(2)org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewInterceptor
を指定する。
Note
静的リソースへのパスを適用対象外とする
静的リソース(js、css、image、htmlなど)のパスについては、データアクセスが発生しないため、Interceptorの適用外とすることを推奨する。
適用対象にしてしまうと、EntityManager
に対して無駄な処理(インスタンス生成とクローズ処理)が実行されることになる。
org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewFilter
を使用して、EntityManagerの生存期間をServlet Filter層まで伸ばす必要がある。org.springframework.security.core.userdetails.UserDetailsService
を拡張実装し、拡張した処理の中でEntityオブジェクトにアクセスする場合、このケースにあてはまる。EntityManager
の生存期間をServlet Filter層まで伸ばす必要はない。Note
Servlet Filter層でのLazy Fetchについて
Servlet Filter層でLazy Fetchが発生しないように設計および実装することを推奨する。
OpenEntityManagerInViewInterceptor
を使用した方が、 適用パターンと除外パターンを柔軟に指定できるため、EntityManager
の生存期間をアプリケーション層まで伸ばす対象のパスを指定しやすくなる。Servlet Filterで必要となるデータへのアクセスについては、Serviceクラスの処理として事前にFetchしておくか、またはEager Fetchを使用して事前にロードしておくことで、Lazy Fetchが発生しないようにする。
以下にOpenEntityManagerInViewFilter
の設定例を示す。
web.xml
<!-- (1) --> <filter> <filter-name>Spring OpenEntityManagerInViewFilter</filter-name> <filter-class>org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewFilter</filter-class> </filter> <!-- (2) --> <filter-mapping> <filter-name>Spring OpenEntityManagerInViewFilter</filter-name> <url-pattern>/*</url-pattern> </filter-mapping>
項番
説明
(1)org.springframework.orm.jpa.support.OpenEntityManagerInViewFilter
を指定する。このServlet Filterは、Lazy Fetchが発生するServlet Filterより前に定義する必要がある。(2)フィルタを適用するURLのパターンを指定する。可能な限り必要なパスのみに適用することを推奨するが、設定が煩雑になってしまうのであれば、「/*」(すべてのリクエスト)としてもよい。Note
OpenEntityManagerInViewFilter
を適用するURLのパターンに「/*」(すべてのリクエスト)を指定した場合は、OpenEntityManagerInViewInterceptor
の設定は不要となる。Warning
意図せぬLazyInitializationExceptionの発生を防止するために
OpenEntityManagerInViewInterceptor
やOpenEntityManagerInViewFilter
を利用するかどうかに関わらず、Lazy Fetchが行われないままのEntityをEntityManagerの生存期間外まで引き継いでしまうと、意図せぬところでorg.hibernate.LazyInitializationException
が発生する可能性がある。例として、SessionやFlash scopeに登録後、別リクエストやリダイレクト先で取得する場合が挙げられる。
上記のような場合には、あらかじめEntityManagerの生存期間内でFetchを行い、取得したデータを別オブジェクトに入れ替えて引き継ぐように実装することを推奨する。
6.3.2.3. Repositoryインタフェースの作成¶
Spring DataではEntity毎のRepositoryインタフェースを作成する方法として、以下3つの方法を提供している。
項番
作成方法
説明
Spring Dataから提供されているインタフェースを継承することで、Entity毎のRepositoryインタフェースを作成する。 特に理由がない場合は、この方法で、Entity毎のRepositoryインタフェースを作成することを推奨する。
Spring Dataから提供されているRepositoryインタフェースのメソッドの中から、必要なメソッドのみ定義したプロジェクト用の共通インタフェースを作成し、作成した共通インタフェースを継承することでEntity毎のRepositoryインタフェースを作成する。
Spring Dataから提供されているインタフェースやプロジェクト用の共通インタフェースの継承は行わずに、Entity毎にRepositoryインタフェースを作成する。
6.3.2.3.1. Spring Data提供のインタフェースを継承する¶
Spring Dataから提供されているインタフェースを継承してEntity毎のRepositoryインタフェースを作成する方法について説明する。
継承することができるインタフェースは以下の通り。
項番
インタフェース
説明
org.springframework.data.repositoryCrudRepository汎用的なCRUD操作を行うメソッドを提供しているRepositoryインタフェース。
org.springframework.data.repositoryPagingAndSortingRepository
CrudRepository
のfindAllメソッドにページネーション機能とソート機能を追加したRepositoryインタフェース。
org.springframework.data.repository.queryQueryByExampleExecutor 例示による問い合わせ(Query by Example)の実行を可能にするRepositoryインタフェース。本ガイドラインではQuery by Exampleについては取り扱わない。
org.springframework.data.jpa.repository JpaRepository
JPAの仕様に依存するメソッドを提供しているRepositoryインタフェース。PagingAndSortingRepository
、QueryByExampleExecutor
を継承しているため、PagingAndSortingRepository
、CrudRepository
、QueryByExampleExecutor
のメソッドも使用する事ができる。特に理由がない場合は、本インタフェースを継承してEntity毎のRepositoryインタフェースを作成することを推奨する。Note
Spring Data提供のRepositoryインタフェースのデフォルト実装について
上記インタフェースで定義されているメソッドの実装は、Spring Data JPAより提供されている
org.springframework.data.jpa.repository.support.SimpleJpaRepository
で行われている。Note
例示による問い合わせ(Query by Example)について
Query by Exampleでは動的なクエリの作成が可能になり、フィールド名を含むクエリを作成する必要がない。
Query by ExampleについてはSpring Data JPA - Reference Documentation の “Query by Example”を参照されたい。
以下に、作成例を示す。
public interface OrderRepository extends JpaRepository<Order, Integer> { // (1) }
項番
説明
(1)JpaRepository
を継承し、ジェネリック型<T>
にEntityの型、ジェネリック型<ID extends Serializable>
にEntityのIDの型を指定する。上記例では、EntityにOrder
型、EntityのIDにInteger
型を指定している。
JpaRepository
を継承してEntity毎のRepositoryインタフェースを作成すると、以下のメソッドに対する実装を得ることが出来る。なお、QueryByExampleExecutorのメソッドおよび非推奨メソッドは記載していない。
項番
メソッド
説明
<S extends T> S save(S entity)
指定されたEntityに対する永続操作(INSERT/UPDATE)をjakarta.persistence.EntityManager
に蓄積するためのメソッド。IDプロパティ(@jakarta.persistence.Id
アノテーションまたは@jakarta.persistence.EmbeddedId
アノテーションが付与されているプロパティ)に値が設定されていない場合はEntityManager
のpersist
メソッドが呼ばれ、値が設定されている場合はmerge
メソッドが呼び出される。mergeメソッドが呼び出された場合、返却されるEntityオブジェクトは、引数で渡されたEntityとは別のオブジェクトとなるので注意すること。
<S extends T> List<S> saveAll(Iterable<S> entities)
指定された複数のEntityに対する永続操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。<S extends T> S save(S entity)
メソッドを繰り返し呼び出す事で実現している。
<S extends T> saveAndFlush(T entity)
指定されたEntityに対する永続操作をEntityManager
に蓄積した後に、蓄積されている永続操作(INSERT/UPDATE/DELETE)を永続層(DB)に反映するためのメソッド。
<S extends T> List<S> saveAllAndFlush(Iterable<S> entities)
指定された複数のEntityに対する永続操作をEntityManager
に蓄積した後に、蓄積されている永続操作(INSERT/UPDATE/DELETE)を永続層(DB)に反映するためのメソッド
void flush()
EntityManager
に蓄積されたEntityへの永続操作(INSERT/UPDATE/DELETE)を永続層(DB)に実行するためのメソッド。
void deleteById(ID id)
指定されたIDのEntityに対する削除操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。このメソッドはfindById(ID)
メソッドを呼び出してEntityオブジェクトをEntityManager
の管理下にしてから削除している。findById(ID)
メソッドの呼び出し時にEntityが存在しない場合は、org.springframework.dao.EmptyResultDataAccessException
が発生する。
void delete(T entity)
指定されたEntityに対する削除操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。
void deleteAll(Iterable<? extends T> entities)
指定された複数のEntityに対する削除操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。void delete(T entity)
メソッドを繰り返し呼び出す事で実現している。削除対象のEntityが大量になる場合は、void deleteAllInBatch(Iterable<T> entities)
メソッドを使用した方が効率的に削除することができる。
void deleteAll()
すべてのEntityに対する削除操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。List<T> findAll()
メソッドで取得したEntityに対してvoid delete(T entity)
メソッドを繰り返し呼び出す事で実現している。削除対象のEntityが大量になる場合は、void deleteAllInBatch()
メソッドを使用すること。このメソッドは削除するEntityをすべてアプリケーション上に読み込むので、メモリ枯渇の原因になる。
void deleteAllInBatch(Iterable<T> entities)
指定された複数のEntityを直接永続層(DB)から削除するためのメソッド。このメソッドを使って削除した場合、EntityManager
上で管理(キャッシュ)されているEntityは削除されないため、本メソッドで削除した後にfindById(ID id)
メソッドを呼び出すとEntityManager
上で管理されているEntityが返却されるので注意が必要。後続処理で削除したEntityに対してfindById(ID id)
メソッドなどのEntityManager
上で管理(キャッシュ)されているEntityオブジェクトを返却するメソッドを呼び出す可能性がある場合は、void deleteAll(Iterable<? extends T> entities)
メソッドを使用して削除すること。
void deleteAllInBatch()
すべてのEntityを直接永続層(DB)から削除するためのメソッド。void deleteAllInBatch(Iterable<T> entities)
メソッドと同様、EntityManager
上で管理(キャッシュ)されているEntityは削除されない点に注意すること。
void deleteAllByIdInBatch(Iterable<ID> ids)
指定されたIDの複数のEntityを直接永続層(DB)から削除するためのメソッド。このメソッドを使って削除した場合、EntityManager
上で管理(キャッシュ)されているEntityは削除されないため、本メソッドで削除した後にfindById(ID id)
メソッドを呼び出すとEntityManager
上で管理されているEntityが返却されるので注意が必要。後続処理で削除したEntityに対してfindById(ID id)
メソッドなどのEntityManager
上で管理(キャッシュ)されているEntityオブジェクトを返却するメソッドを呼び出す可能性がある場合は、void deleteAll(Iterable<? extends T> entities)
メソッドを使用して削除すること。
void deleteAllById(Iterable<? extends ID> ids)
指定されたIDの複数のEntityに対する削除操作をEntityManager
に蓄積するためのメソッド。void deleteById(ID id)
メソッドを繰り返し呼び出す事で実現している。削除対象のEntityが大量になる場合は、void deleteAllByIdInBatch(Iterable<ID> ids)
メソッドを使用した方が効率的に削除することができる。
Optional<T> findById(ID id)
指定されたIDのEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)されるため、2回目以降のアクセスでは永続層へのアクセスは発生せず、キャッシュされているEntityが返却される。
T getById(ID id)
指定されたIDのEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)されるため、2回目以降のアクセスでは永続層へのアクセスは発生せず、キャッシュされているEntityが返却される。findByIdメソッドとは異なりEntityはLazy Fetchされ、データが存在しない場合はEntityのプロパティへの最初のアクセス時にEntityNotFoundException
がスローされる。Warning
Entityの取得とプロパティへのアクセスを別々の箇所で行うよう実装した場合、実装者がLazy Fetchを意識できずに例外ハンドリングが漏れる恐れがあるため、意図的にLazy Fetchするとき以外はfindByIdメソッドを使用することを推奨する。
List<T> findAll()
すべてのEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)される。
List<T> findAllById(Iterable<ID> ids)
指定された複数のIDのEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)される。 指定されたIDはIN句を使って検索されるため、OracleなどIN句に指定できる値の数に制限があるDBを使う場合は注意すること。
List<T> findAll(Sort sort)
指定された並び順ですべてのEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)される。
Page<T> findAll(Pageable pageable)
指定されたページ(並び順、ページ数、ページ内に表示する件数)に一致するEntityを永続層(DB)から取得するためのメソッド。永続層から取得されたEntityはEntityManager
によって管理(キャッシュ)される。
boolean existsById(ID id)
指定されたIDのEntityが存在するかチェックするためのメソッド。
long count()
永続化対象のEntityの件数を取得するためのメソッド。Warning
JPAの楽観ロック(@jakarta.persistence.Version)使用時の動作について
JPAの楽観ロック(
@Version
)使用時に更新対象のEntityが更新または削除された場合は、org.springframework.dao.OptimisticLockingFailureException
が発生する。
OptimisticLockingFailureException
が発生する可能性があるメソッドは、以下の通りである。
<S extends T> S save(S entity)
<S extends T> List<S> saveAll(Iterable<S> entities)
T saveAndFlush(T entity)
<S extends T> List<S> saveAllAndFlush(Iterable<S> entities)
void deleteById(ID id)
void delete(T entity)
void deleteAll(Iterable<? extends T> entities)
void deleteAll()
void deleteAllById(Iterable<? extends ID> ids)
void flush()
JPAの楽観ロックの詳細については排他制御を参照されたい。
Note
永続操作の反映タイミングについて(その1)
EntityManager
に蓄積されたEntityへの永続操作は、トランザクションをコミットする直前に実行され永続層(DB)に反映される。そのため、一意制約違反などのエラーをトランザクション管理内の処理(Serviceの処理)でハンドリングしたい場合は、saveAndFlush
メソッドまたはflush
メソッドを呼び出してEntityManager
内に蓄積されているEntityへの永続操作を強制的に実行する必要がある。単にエラーをクライアントに通知するだけでよければ、Controllerで例外ハンドリングを行い適切なメッセージを設定すればよい。
saveAndFlush
メソッドおよびflush
メソッドはJPA依存のメソッドなので、意図なく使用しないように注意すること。
通常のフロー
flush時のフロー
Note
永続操作の反映タイミングについて(その2)
以下のメソッドを呼び出した場合、
EntityManager
と、永続層(DB)で管理しているデータの不整合が発生しないようにするために、メインの処理が行われる前にEntityManager
に蓄積されているEntityへの永続操作が永続層(DB)に反映される。
findAll
系メソッド
boolean existsById(ID id)
long count()
上記のメソッドは、永続層(DB)に直接Queryを発行するため、 メインの処理が行われる前に永続層(DB)に反映されないとデータの不整合が発生することになる。
後述するQueryメソッドを呼び出した際も、
EntityManager
に蓄積されていたEntityへの永続操作が、永続層(DB)に反映されるトリガーとなる。
Query発行時のフロー
6.3.2.3.2. 必要なメソッドのみ定義したインタフェースを継承する¶
Spring Dataから提供されているインタフェースに定義されているメソッドの中から、必要なメソッドのみ定義した共通インタフェースを 作成し継承する事でEntity毎のRepositoryインタフェースを作成する方法について説明する。
メソッドのシグネチャをSpring Dataから提供されているRepositoryインタフェースのメソッドと一致させる必要があるが、Spring Data提供の Repositoryインタフェースを継承して作成した際と同様、メソッドの実装は不要である。
Note
想定される適用ケース
Spring Dataから提供されているRepositoryインタフェースのメソッドの中には、実際のアプリケーションでは使用しないまたは使用しない方がよいメソッドもある。そのようなメソッドをRepositoryインタフェースから削除したい場合は、この方法で作成する。
インタフェースに定義したメソッドの実装は、Spring Data JPAより提供されている
org.springframework.data.jpa.repository.support.SimpleJpaRepository
で行われている。
以下に、作成例を示す。
@NoRepositoryBean // (1) public interface MyProjectRepository<T, ID extends Serializable> extends Repository<T, ID> { // (2) Optional<T> findById(ID id); // (3) T save(T entity); // (3) // omitted }public interface OrderRepository extends MyProjectRepository<Order, Integer> { // (4) }
項番
説明
(1)@NoRepositoryBean
を指定し、Spring DataによるRepository
インターフェースのインスタンス化対象から外す。 (2)org.springframework.data.repository.Repository
を継承しプロジェクト用の汎用インタフェースを作成する。汎用インタフェースなので、ジェネリック型を使用する。 (3)Spring Dataから提供されているRepositoryインタフェースのメソッドの中から必要なメソッドを選んで定義する。
(4)プロジェクト用の汎用インタフェースを継承し、ジェネリック型
<T>
にEntityの型、ジェネリック型<ID extends Serializable>
にEntityのIDの型を指定する。例では、EntityにOrder
型、EntityのIDにInteger
型を指定している。
6.3.2.3.3. インタフェースの継承は行わない¶
Spring Dataより提供されているインタフェースや共通インタフェースを継承しないで、Entity毎のRepositoryインタフェースを作成する方法について、説明する。
@org.springframework.data.repository.RepositoryDefinition
アノテーションを指定し、 domainClass属性にEntityの型を、idClass属性にEntityのIDの型を指定する。Note
想定される適用ケース
共通的なEntityの操作が必要ない場合は、この方法で作成してもよい。
Spring Dataから提供されているRepositoryインタフェースに定義されているメソッドと同じシグネチャのメソッドの実装は、Spring Data JPAより提供されているorg.springframework.data.jpa.repository.support.SimpleJpaRepository
で行われている。
以下に、作成例を示す。
@RepositoryDefinition(domainClass = Order.class, idClass = Integer.class) // (1) public interface OrderRepository { //(2) Optional<Order> findById(Integer id); // (3) Order save(Order entity); // (3) // omitted }
項番
説明
(1)@RepositoryDefinition
アノテーションを指定する。例では、domainClass属性(Entityの型)にOrder
型、idClass属性(EntityのIDの型)にInteger
型を指定している。 (2)Spring Dataから提供されているインタフェース(
org.springframework.data.repository.Repository
)の継承は不要である。 (3)Entity毎に必要なメソッドを定義する。
6.3.2.4. Queryメソッドの追加¶
Note
JPQLとは
JPQLとは”Java Persistence Query Language”の略で、永続層(DB)のレコードに対応するEntityを操作(SELECT/UPDATE/DELETE)するためのQuery言語である。
文法はSQLに似ているが、永続層(DB)のレコードを直接操作するのではなく、永続層のレコードにマッピングされているEntityを操作することになる。Entityに対して行った操作の永続層(DB)への反映は、JPAプロバイダ(Hibernate)によって行われる。
JPQLの詳細については、jakarta Persistence APIのSpecification「4. Query Language」を参照されたい。
6.3.2.4.1. Queryメソッドを定義する¶
Queryメソッドは、Entity毎のRepositoryインタフェースのメソッドとして定義する。
public interface OrderRepository extends JpaRepository<Order, Integer> { List<Order> findByStatusCode(String statusCode); }
6.3.2.4.2. 実行するQueryを指定する¶
項番
Queryの指定方法
説明
(Spring Dataの機能) Entity毎のRepositoryインタフェースに追加したメソッドに@org.springframework.data.jpa.repository.Query
アノテーションを指定し、実行するQueryを指定する。特に理由がない場合は、この方法で指定することを推奨する。
(Spring Dataの機能) Spring Dataが定めた命名規約に則りメソッド名を付与することで実行するQueryを指定する。Spring Data JPAの機能によってメソッド名から実行するQuery(JPQL)が生成される。生成できるJPQLはSELECTのみとなっている。条件が少なくシンプルなQueryの場合は、 @Query アノテーションを使わずにこの方法を使ってもよい。ただし、条件が多く複雑なQueryの場合は、メソッド名は振る舞いを表すシンプルな名前にして@Query
アノテーションでQueryを指定すること。
(Spring Dataの機能) Spring Data JPAから提供されているプロパティファイルに実行するQueryを指定する。メソッド定義とQuery指定を行う箇所が分離してしまうので、基本的にはこの方法での指定は推奨しない。ただし、QueryとしてNativeなSQLを使用する場合は、データベースに依存するSQLをプロパティファイルに定義する必要があるか確認すること。使用するデータベースを任意に選択できるアプリケーションや、実行環境によって用意できるデータベースが変わる(変わる可能性がある)場合には、この方法でQueryを指定し、プロパティファイルを環境依存資材として管理する必要がある。Note
Query指定方法の併用について
複数のQueryの指定方法を併用することに対して、特に制限は設けない。プロジェクトで使用する指定方法や併用の制限については、プロジェクト毎に判断すること。
Note
QueryのLookup方法について
Spring Dataデフォルトの動作は、
CREATE_IF_NOT_FOUND
に設定されているため、以下の動作となる。#.
@Query
アノテーションに指定されているQueryを取得し、指定があればそのQueryを使用する。 #. Named queryから対応するQueryを取得し、対応するQueryが見つかった場合はそのQueryを使用する。 #. メソッド名からQuery(JPQL)を作成して使用する。 #. メソッド名からQuery(JPQL)が作成できない場合は、エラーとなる。QueryのLookup方法の詳細については、Spring Data Commons - Reference Documentation「Defining query methods」の「Query lookup strategies」を参照されたい。
6.3.2.4.3. Entityのロックを取得する¶
@org.springframework.data.jpa.repository.Lock
アノテーションを追加し、ロックモードを指定する。@Query(value = "SELECT o FROM Order o WHERE o.status.code = :statusCode ORDER BY o.id DESC") @Lock(LockModeType.PESSIMISTIC_WRITE) // (1) List<Order> findByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode);-- (2) statusCode='accepted' SELECT order0_.id AS id1_5_ ,order0_.status_code AS status2_5_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.status_code = 'accepted' ORDER BY order0_.id DESC FOR UPDATE
項番
説明
(1)@Lock
アノテーションのvalue属性にロックモードを指定する。指定可能なロックモードについては、LockModeTypeのJavaDocを参照されたい。 (2) JPQLから変換されたNativeなSQL。(使用DBはPostgreSQL)例では、LockModeType.PESSIMISTIC_WRITE
を指定しているので、SQLに”FOR UPDATE”句が追加される。
6.3.2.4.4. 永続層のEntityを直接操作する¶
EntityManager
上で管理されているEntityオブジェクトに対して行うことを推奨する。Note
性能劣化の要因軽減
永続層のEntityを直接操作することで、Entityの操作を行うためのSQLの発行回数を減らすことができる。そのため、高い性能要件があるアプリケーションの場合は、この方法でEntityの一括操作を行うことで、性能劣化の要因を減らす事ができる。
減らすことが出来るSQLは以下の通り。
Entityオブジェクトを
EntityManager
上に読み込むためのSQL。発行が不要となる。Entityを更新および削除するためのSQL。n回の発行が必要だったものが1回の発行で済む。
Note
永続層のEntityを直接操作するかの判断基準について
永続層のEntityを直接操作する場合、機能的な注意点がいくつかあるため、性能要件が高くないアプリケーションの場合は、一括操作についても EntityManager 上で管理されているEntityオブジェクトに対して行うことを推奨する。
具体的な注意点については、実装例を参照されたい。
以下に、Queryメソッドを使って、永続層のEntityを直接操作する実装例を示す。
@Modifying // (1) @Query("UPDATE OrderItem oi SET oi.logicalDelete = true WHERE oi.id.orderId = :orderId ") // (2) int updateToLogicalDelete(@Param("orderId") Integer orderId); // (3)
項番
説明
(1) 更新系のQueryメソッドであることを示す@org.springframework.data.jpa.repository.Modifying
アノテーションを指定する。指定しないと実行時にエラーとなる。 (2) 更新系(UPDATEまたはDELETE)用のQueryを指定する。 (3) 更新件数や削除件数が必要な場合は、int
またはjava.lang.Integer
を戻り値の型として指定し、件数が必要ない場合は、void
を指定する。Warning
EntityManager上で管理しているEntityとの整合性について
Queryメソッドを使って永続層のEntityを直接操作した場合、Spring Data JPAのデフォルト動作ではEntityManager上で管理されているEntityに反映されない。そのため、直後に
JpaRepository#findById(ID)
メソッドを呼び出して取得されるEntityオブジェクトは、操作前の状態である点に注意すること。この動作を回避する方法として、
@Modifying
アノテーションのclearAutomatically属性をtrue
に指定する方法がある。clearAutomatically属性に
true
を指定した場合、永続層のEntityを直接操作した後に、EntityManager
のclear()
メソッドが呼び出され、EntityManager
上で管理されていたEntityオブジェクトと蓄積されていた永続操作がEntityManager
上から破棄される。そのため、直後にJpaRepository#findById(ID)
メソッドを呼び出した場合、永続層から最新状態のEntityが取得され、永続層とEntityManager
の状態が同期される仕組みになっている。Warning
@Modifying(clearAutomatically = true) 使用時の注意点
@Modifying(clearAutomatically = true)
とすることで、蓄積されていた永続操作(INSERT/UPDATE/DELETE)もEntityManager
上から破棄されてしまうという点に注意が必要となる。これは、必要な永続操作が永続層に反映されない可能性がある事を意味するため、バグを引き起こす要因となりうる。この問題を回避するためには、 永続層のEntityを直接操作する前に
JpaRepository#saveAndFlush(T entity)
またはJpaRepository#flush()
メソッドを呼び出し、蓄積されている永続操作を永続層に反映しておく必要がある。
6.3.2.4.5. Queryヒントを設定する¶
Queryにヒントを設定する必要がある場合は、Queryメソッドに@org.springframework.data.jpa.repository.QueryHints
アノテーションを追加し、value属性にQueryヒント(@jakarta.persistence.QueryHint
)を指定する。
@Query(value = "SELECT o FROM Order o WHERE o.status.code = :statusCode ORDER BY o.id DESC") @Lock(LockModeType.PESSIMISTIC_WRITE) @QueryHints(value = { @QueryHint(name = "jakarta.persistence.lock.timeout", value = "0") }) // (1) List<Order> findByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode);
項番
説明
(1)@QueryHint
アノテーションのname属性にヒント名、value属性にヒント値を設定する。指定できるヒントは、JPAの仕様で決められているものに加え、プロバイダ固有のものがある。上記例では、ロックタイムアウトを”0
“に設定している(使用DBはOracle)。SQLに”FOR UPDATE NOWAIT”句が追加される。Note
Hibernateで指定できるQueryヒントについて
JPA仕様で決められているQueryヒントは以下の通り。 詳細は、Jakarta Persistence APIのSpecification「3.10.10. Query Hints」を参照されたい。
jakarta.persistence.query.timeout
jakarta.persistence.lock.timeout
jakarta.persistence.cache.retrieveMode
jakarta.persistence.cache.storeMode
Hibernate固有のQueryヒントについては、QueryHintsクラスのJavaDocを参照されたい。
6.3.2.5. QueryメソッドのQuery指定¶
Queryメソッド呼び出し時に実行するQueryの指定方法について説明する。
6.3.2.5.1. @Query アノテーションで指定する¶
@Query
アノテーションのvalue属性に実行するQuery(JPQL)を指定する。
@Query(value = "SELECT o FROM Order o WHERE o.status.code = :statusCode ORDER BY o.id DESC") // (1) List<Order> findByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode);-- (2) statusCode='accepted' SELECT order0_.id AS id1_5_ ,order0_.status_code AS status2_5_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.status_code = 'accepted' ORDER BY order0_.id DESC
項番
説明
(1)@Query
アノテーションのvalue属性に実行するQuery(JPQL)を指定する。上記例では、Order
オブジェクトで保持しているstatus
プロパティ(OrderStatus
型)のcode
プロパティ(String
型) の値が指定したパラメータ値(statusCode
)と一致するOrder
オブジェクトをid
プロパティの降順に並べて取得するためのQueryを指定している。 (2)JPQLから変換されたNativeなSQL。
@Query
アノテーションのvalue属性に指定したQuery(JPQL)は、使用するデータベースのNativeなSQLに変換され実行される。Note
JPQLではなくNativeなSQLを直接指定する方法
QueryとしてJPQLではなくNativeなSQLを直接指定したい場合は、 nativeQuery属性を
true
に設定することで指定可能となる。基本的にはJPQLを使用する事を推奨するが、JPQLで表現できないQueryを発行する必要がある場合はNativeなSQLを直接指定してもよい。
データベースに依存するSQLを指定する場合は、SQLをプロパティファイルに定義することを検討すること。
SQLをプロパティファイルに定義する方法については、「プロパティファイルにNamed queryとして指定する」を参照されたい。
Note
Named Parametersについて
Queryにバインドするパラメータに対して名前を付与し、Query内からはパラメータ名を指定することで値をバインドすることができる。
Named Parameterを使用する場合は、
@org.springframework.data.repository.query.Param
アノテーションを対象とする引数に追加し、value属性にパラメータ名を指定する。Queryでは、バインドしたい位置に「:パラメータ名」の形式で指定する。
特に理由がない場合は、 Queryのメンテナンス性と可読性を考慮し、Named Parametersを使用することを推奨する。
%
“ を指定することが出来る。@Query
アノテーションで指定するJPQLでのみ指定することが出来る。%
“ を指定するとエラーになるので注意すること。
項番
一致方法
形式
具体例
前方一致
:parameterName%
or?n%
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE :firstName%
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE ?1%
後方一致
%:parameterName
or%?n
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE %:firstName
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE %?1
部分一致
%:parameterName%
or%?n%
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE %:firstName%
SELECT a FROM Account WHERE a.firstName LIKE %?1%
Note
LIKE検索時のエスケープについて
LIKE検索を行う場合は、検索条件となる値をLIKE検索用にエスケープする必要がある。
org.terasoluna.gfw.common.query.QueryEscapeUtils
クラスにエスケープするためのメソッドが用意されているため、要件を充たせる場合は使用を検討すること。
QueryEscapeUtils
クラスの詳細については、「データベースアクセス(共通編)」の「LIKE検索時のエスケープについて」を参照されたい。Note
一致方法を動的に変化させる必要がある場合
一致方法(前方一致、後方一致、部分一致)を動的に変化させる必要がある場合は、JPQL内に “
%
“ を指定するのではなく、従来通りバインドするパラメータ値の前後に “%
“ を追加すること。
org.terasoluna.gfw.common.query.QueryEscapeUtils
クラスに一致方法に対応する検索条件値に変換するメソッドが用意されているため、要件を充たせる場合は、使用を検討すること。
QueryEscapeUtils
クラスの詳細については、「データベースアクセス(共通編)」の「LIKE検索時のエスケープについて」を参照されたい。
// (1) @Query(value = "SELECT o FROM Order o WHERE o.status.code = :statusCode ORDER BY o.id DESC") Page<Order> findByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode, Pageable pageable);
項番
説明
(1)Queryに
ORDER BY
を指定する。降順にする場合はDESC
を、昇順にする場合はASC
を指定する。DESC/ASCを省略した場合は、ASC
が適用される。
Pageable
オブジェクト内に保持しているorg.springframework.data.domain.Sort
オブジェクトに指定することが出来る。Pageable
オブジェクト内に保持しているSort
オブジェクトを使用してソートする実装例を示す。Controller
@GetMapping("list") public String list(@PageableDefault( size=5, sort = "id", // (1) direction = Direction.DESC // (1) ) Pageable pageable, Model model) { Page<Order> orderPage = orderService.getOrders(pageable); // (2) model.addAttribute("orderPage", orderPage); return "order/list"; }
項番
説明
(1)ソート条件を指定する。Pageable#getSort()
メソッドで取得できるSort
オブジェクトにソート条件が設定される。上記例では、 idフィールドの降順をソート条件として指定している。(2)Pageable
オブジェクトを指定してServiceのメソッドを呼び出す。
Service (Caller)
public String getOrders(Pageable pageable){ return orderRepository.findByStatusCode("accepted", pageable); // (3) }
項番
説明
(3)Controllerから渡された
Pageable
オブジェクトを指定してRepositoryのメソッドを呼び出す。
Repositoryインタフェース
@Query(value = "SELECT o FROM Order o WHERE o.status.code = :statusCode") // (4) Page<Order> findByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode, Pageable pageable);
-- (5) statusCode='accepted' SELECT COUNT(order0_.id) AS col_0_0_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.status_code = 'accepted' -- (6) statusCode='accepted' SELECT order0_.id AS id1_5_ ,order0_.status_code AS status2_5_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.status_code = 'accepted' ORDER BY order0_.id DESC LIMIT 5
項番
説明
(4)Queryに”ORDER BY”句の指定は行わない。countQuery属性の指定も不要。
(5)JPQLから変換された件数カウント用のNativeなSQL。
(6)JPQLから変換された「指定されたページ位置のEntityを取得する」ためのNativeなSQL。Queryに指定はしていないが、Pageable
オブジェクト内に保持しているSort
オブジェクトに指定した条件で”ORDER BY”句が追加される。例では、PostgreSQL用のSQLになっている。
6.3.2.5.2. 命名規約ベースのメソッド名で指定する¶
メソッド名からJPQLを生成するための命名規約などのルールについては、以下のページを参照されたい。
項番
参照ページ
説明
Spring Data Commons - Reference Documentation「Defining query methods」の「Query creation」
Distinct、ORDER BY、Case insensitiveの指定方法などが記載されている。
Spring Data Commons - Reference Documentation「Defining query methods」の「Property expressions」
ネストされたEntityのプロパティを条件に指定する方法などが記載されている。
Spring Data Commons - Reference Documentation「Defining query methods」の「Special parameter handling」
特別なメソッド引数(
Pageable
、Sort
)についての説明が記載されている。
Spring Data JPA - Reference Documentation「Query methods」の「Query creation」
JPQLを組み立てるための命名規約(キーワード)に関する説明が記載されている。
Spring Data Commons - Reference Documentation「Appendix C. Repository query keywords」
JPQLを組み立てるための命名規約(キーワード)に関する説明が記載されている。
以下に、実装例を示す。
OrderRepositry.java
Page<Order> findByStatusCode(String statusCode, Pageable pageable); // (1)
項番
説明
(1)メソッド名が^(find|read|get).*By(.+)
のパターンに一致する場合、メソッド名からJPQLを生成する対象のメソッドとなる。(.+)
の部分に条件となるEntityのプロパティや操作を示すキーワードを指定する。例では、Order
オブジェクトで保持しているstatus
プロパティ(OrderStatus
型)のcode
プロパティ(String
型) の値が指定したパラメータ値(statusCode
)と一致するOrder
オブジェクトをページ形式で取得している。件数カウント用Query
-- (2) JPQL SELECT COUNT(*) FROM ORDER AS generatedAlias0 LEFT JOIN generatedAlias0.status AS generatedAlias1 WHERE generatedAlias1.code = ?1 -- (3) SQL statusCode='accepted' SELECT COUNT(*) AS col_0_0_ FROM t_order order0_ LEFT OUTER JOIN c_order_status orderstatu1_ ON order0_.status_code = orderstatu1_.code WHERE orderstatu1_.code = 'accepted'
項番
説明
(2)メソッド名から生成された件数カウント用のJPQLのQuery。
(3)(2)のJPQLから変換された件数カウント用のNativeなSQL。
Entity取得用Query
-- (4) JPQL SELECT generatedAlias0 FROM ORDER AS generatedAlias0 LEFT JOIN generatedAlias0.status AS generatedAlias1 WHERE generatedAlias1.code = ?1 ORDER BY generatedAlias0.id DESC; -- (5) statusCode='accepted' SELECT order0_.id AS id1_5_ ,order0_.status_code AS status2_5_ FROM t_order order0_ LEFT OUTER JOIN c_order_status orderstatu1_ ON order0_.status_code = orderstatu1_.code WHERE orderstatu1_.code = 'accepted' ORDER BY order0_.id DESC LIMIT 5
項番
説明
(4)メソッド名から生成されたEntity取得用のJPQLのQuery。
(5)(4)のJPQLから変換されたEntity取得用のNativeなSQL。
6.3.2.5.3. プロパティファイルにNamed queryとして指定する¶
Spring Data JPAから提供されているプロパティファイル(classpath:META-INF/jpa-named-queries.properties)に、実行するQueryを指定する。
OrderRepositry.java
@Query(nativeQuery = true) List<Order> findAllByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode); // (1)
項番
説明
(1)Named queryのLookup名は、Entityのクラス名とメソッド名を “.
“ (dot) で連結したものが使用される。上記例だと、Order.findAllByStatusCode
がLookup名となる。Tip
Named queryのLookup名を指定する方法
デフォルトの動作では、Entityのクラス名とメソッド名を “
.
“ (dot) で連結したものがLookup名として使用されるが、任意のクエリ名を指定することも出来る。Entity取得用のLookup名に任意のクエリ名を指定したい場合は、
@Query
アノテーションのname属性にクエリ名を指定する。ページ検索時の件数カウント用のLookup名に任意のクエリ名を指定したい場合は、
@Query
アノテーションのcountName属性にクエリ名を指定する。@Query(name = "OrderRepository.findAllByStatusCode", nativeQuery = true) // (2) List<Order> findAllByStatusCode(@Param("statusCode") String statusCode);
項番
説明
(2)上記例では、
OrderRepository.findAllByStatusCode
をLookup用のクエリ名として指定している。
jpa-named-queries.properties
# (3) Order.findAllByStatusCode=SELECT * FROM order WHERE status_code = :statusCode
項番
説明
(3)クエリー名をキーとして、実行するSQLを指定する。上記例では、Order.findAllByStatusCode
をキーに、実行するSQLを指定している。Tip
Spring Data JPAから提供されているプロパティファイルではなく、任意のプロパティファイルにNamed Queryを指定する方法を以下に紹介する。
XxxInfraConfig.java
@Configuration @EnableJpaRepositories(basePackages = "xxx.yyy.zzz.domain.repository", namedQueriesLocation = "classpath:META-INF/jpa/jpa-named-queries.properties") // (4) public class XxxInfraConfig { // omitted
項番
説明
(4)@EnableJpaRepositories
アノテーションのnamedQueriesLocation属性に、任意のプロパティファイルを指定する。上記例では、クラスパス上にあるMETA-INF/jpa/jpa-named-queries.properties
が使用される。
xxx-infra.xml
<!-- (4) --> <jpa:repositories base-package="xxx.yyy.zzz.domain.repository" named-queries-location="classpath:META-INF/jpa/jpa-named-queries.properties" />
項番
説明
(4)<jpa:repositories>要素のnamed-queries-location属性に、任意のプロパティファイルを指定する。上記例では、クラスパス上にあるMETA-INF/jpa/jpa-named-queries.properties
が使用される。
6.3.2.6. Entityの検索処理の実装¶
Entityの検索方法について、目的別に説明する。
6.3.2.6.1. 条件に一致するEntityを全件検索¶
条件に一致するEntityを全件取得するQueryメソッドを呼び出す。
Repositroyインタフェース
public interface AccountRepository extends JpaRepository<Account, String> { // (1) @Query("SELECT a FROM Account a WHERE :createdDateFrom <= a.createdDate AND a.createdDate < :createdDateTo ORDER BY a.createdDate DESC") List<Account> findByCreatedDate( @Param("createdDateFrom") Date createdDateFrom, @Param("createdDateTo") Date createdDateTo); }
項番
説明
(1)java.util.List
インタフェースを返却するQueryメソッドを定義する。Service
public List<Account> getAccounts(Date targetDate) { LocalDate targetLocalDate = new LocalDate(targetDate); Date fromDate = targetLocalDate.toDate(); Date toDate = targetLocalDate.dayOfYear().addToCopy(1).toDate(); // (2) List<Account> accounts = accountRepository.findByCreatedDate(fromDate, toDate); if (accounts.isEmpty()) { // (3) // omitted } return accounts; }
項番
説明
(2)Repositryインタフェースに実装したQueryメソッドを呼び出す。(3)検索結果が0件の場合は、空のリストが返却される。nullは返却されないのでnullチェックは不要。必要に応じて、検索結果が0件の場合の処理を実装する。
6.3.2.6.2. 条件に一致するEntityのページ検索¶
条件に一致するEntityの中から指定ページに該当するEntityを取得するQueryメソッドを呼び出す。
Repositroyインタフェース
public interface AccountRepository extends JpaRepository<Account, String> { // (1) @Query("SELECT a FROM Account a WHERE :createdDateFrom <= a.createdDate AND a.createdDate < :createdDateTo") Page<Account> findByCreatedDate( @Param("createdDateFrom") Date createdDateFrom, @Param("createdDateTo") Date createdDateTo, Pageable pageable); }
項番
説明
(1)引数としてorg.springframework.data.domain.Pageable
インタフェースを受け取り、org.springframework.data.domain.Page
インタフェースを返却するQueryメソッドを定義する。Controller
@GetMapping("list") public String list(@RequestParam("targetDate") Date targetDate, @PageableDefault( page = 0, value = 5, sort = { "createdDate" }, direction = Direction.DESC) Pageable pageable, // (2) Model model) { Page<Order> accountPage = accountService.getAccounts(targetDate, pageable); model.addAttribute("accountPage", accountPage); return "account/list"; }
項番
説明
(2)Spring Dataより提供されているページング検索用のオブジェクト(org.springframework.data.domain.Pageable
)を生成する。詳細は「ページネーション」を参照されたい。Service
public Page<Account> getAccounts(Date targetDate ,Pageable pageable) { LocalDate targetLocalDate = new LocalDate(targetDate); Date fromDate = targetLocalDate.toDate(); Date toDate = targetLocalDate.dayOfYear().addToCopy(1).toDate(); // (3) Page<Account> page = accountRepository.findByCreatedDate(fromDate, toDate, pageable); if (!page.hasContent()) { // (4) // ... } return page; }
項番
説明
(3)Repositryインタフェースに実装したQueryメソッドを呼び出す。(4)検索結果が0件の場合は、Page
オブジェクトに空のリストが設定され、Page#hasContent()
メソッドの返り値がfalse
になる。必要に応じて、検索結果が0件の場合の処理を実装する。
6.3.2.7. Entityの動的条件による検索処理の実装¶
以降では、動的条件を適用してEntityを検索する方法について、目的別に説明する。
Todo
TBD
今後、以下の内容を追加する予定である。
QueryDSLを使用した動的Queryの実装例。
6.3.2.7.1. 動的条件に一致するEntityを全件検索¶
動的条件に一致するEntityを全件取得するQueryメソッドを実装し、呼び出す。
以下の実装例を示す。
実装例では、動的条件として、
注文ID
商品名
注文状態(複数指定可能)
Criteria (JavaBean)
public class OrderCriteria implements Serializable { // (1) private Integer id; private String itemName; private List<String> statusCodes; // omitted }
項番
説明
(1)検索条件を保持するCriteriaオブジェクト(JavaBean)を作成する。カスタムRepositoryインタフェース
public interface OrderRepositoryCustom { Page<Order> findAllByCriteria(OrderCriteria criteria); // (2) }
項番
説明
(2)カスタムRepositoryインタフェースに、Criteriaオブジェクトを引数にとり、Listを返却するメソッドを定義する。カスタムRepositoryクラス
public class OrderRepositoryImpl implements OrderRepositoryCustom { // (3) @PersistenceContext EntityManager entityManager; // (4) public List<Order> findAllByCriteria(OrderCriteria criteria) { // (5) // Collect dynamic conditions. // (6) final List<String> andConditions = new ArrayList<String>(); final List<String> joinConditions = new ArrayList<String>(); final Map<String, Object> bindParameters = new HashMap<String, Object>(); // (7) if (criteria.getId() != null) { andConditions.add("o.id = :id"); bindParameters.put("id", criteria.getId()); } if (!CollectionUtils.isEmpty(criteria.getStatusCodes())) { andConditions.add("o.status.code IN :statusCodes"); bindParameters.put("statusCodes", criteria.getStatusCodes()); } if (StringUtils.hasLength(criteria.getItemName())) { joinConditions.add("o.orderItems oi"); joinConditions.add("oi.item i"); andConditions.add("i.name LIKE :itemName ESCAPE '~'"); bindParameters.put("itemName", QueryEscapeUtils .toLikeCondition(criteria.getItemName())); } // (8) if (andConditions.isEmpty()) { return Collections.emptyList(); } // (9) // Create dynamic query. final StringBuilder queryString = new StringBuilder(); // (10) queryString.append("SELECT o FROM Order o"); // (11) // add join conditions. for (String joinCondition : joinConditions) { queryString.append(" LEFT JOIN ").append(joinCondition); } // add conditions. Iterator<String> andConditionsIt = andConditions.iterator(); if (andConditionsIt.hasNext()) { queryString.append(" WHERE ").append(andConditionsIt.next()); } while (andConditionsIt.hasNext()) { queryString.append(" AND ").append(andConditionsIt.next()); } // (12) // add order by condition. queryString.append(" ORDER BY o.id"); // (13) // Create typed query. final TypedQuery<Order> findQuery = entityManager.createQuery( queryString.toString(), Order.class); // Bind parameters. for (Map.Entry<String, Object> bindParameter : bindParameters .entrySet()) { findQuery.setParameter(bindParameter.getKey(), bindParameter .getValue()); } // (14) // Execute query. return findQuery.getResultList(); } }
項番
説明
(3)カスタムRepositoryインタフェースの実装クラスを作成する。(4)EntityManager
をInjectする。@jakarta.persistence.PersistenceContext
アノテーションを使用してInjectすること。(5)動的条件に一致するEntityを全件取得するQueryメソッドを実装する。上記実装例では説明のためにメソッド分割はしていないが、必要に応じてメソッド分割すること。(6)動的クエリを組み立てるための変数(AND条件用リスト、結合条件用リスト、バインドパラメータ用マップ)を定義している。OrderCriteriaオブジェクトに条件の指定があるものについて、これらの変数に必要な情報を設定する。(7)OrderCriteriaオブジェクトに条件の指定があるか判定し、動的クエリを組み立てるために必要な情報を設定していく。上記例では、id
は指定した値と完全一致するもの、statusCodes
は指定したリストに含まれるもの、itemName
は指定した値と前方一致するものを取得対象とするための情報を設定している。itemName
については、比較対象の値を保持する関連Entityが複雑なネスト関係になっているため、関連EntityをJOINする必要がある。(8)上記実装例では条件が指定されていない場合は、検索する必要がないため、空のリストを返却する。(9)条件が指定されている場合は、Entityを検索するためのQueryを組み立てる。上記例では実行するQueryをjava.lang.StringBuilder
クラスを使って組み立てる実装例となっている。(10)静的なQuery要素を組み立てる。上記例では、SELECT句とFROM句は静的なQueryの構成要素として組み立てている。(11)動的なQuery要素を組み立てる。上記例では、結合条件用リスト(JOIN句)とAND条件用リスト(WHERE句)に設定する条件を動的なQuery要素として組み立てている。(12)静的なQuery要素を組み立てる。上記例では、ORDER BY句は静的なQuery要素として組み立てている。(13)動的に組み立てたQuery文字列をjakarta.persistence.TypedQuery
に変換し、Query実行に必要なバインド用のパラメータを設定する。(14)動的に組み立てたQueryを実行し、条件に一致するEntityを全件取得する。Entity毎のRepositoryインタフェース
public interface OrderRepository extends JpaRepository<Order, Integer>, OrderRepositoryCustom { // (15) // omitted }
項番
説明
(15)Entity毎のRepositoryインタフェースに、カスタムRepositoryインタフェースを継承する。Service (Caller)
// condition values for sample. Integer conditionValueOfId = 4; List<String> conditionValueOfStatusCodes = Arrays.asList("accepted"); String conditionValueOfItemName = "Wat"; // implementation of sample. // (16) OrderCriteria criteria = new OrderCriteria(); criteria.setId(conditionValueOfId); criteria.setStatusCodes(conditionValueOfStatusCodes); criteria.setItemName(conditionValueOfItemName); List<Order> orders = orderRepository.findAllByCriteria(criteria); // (17) if (orders.isEmpty()) { // (18) // omitted }
項番
説明
(16)OrderCriteriaオブジェクトに検索条件を指定する。(17)OrderCriteriaオブジェクトを引数として、動的条件に一致するEntityを全件取得するQueryメソッドを呼び出す。(18)必要に応じて検索結果を判定し、0件の場合の処理を行う。実行されるJPQL(SQL)
-- (19) -- conditionValueOfId=4 -- conditionValueOfStatusCodes = ["accepted"] -- conditionValueOfItemName = "Wat" -- JPQL SELECT o FROM ORDER o JOIN o.orderItems oi JOIN oi.item i WHERE o.id = :id AND o.status.code IN :statusCodes AND i.name LIKE :itemName ESCAPE '~' ORDER BY o.id -- SQL SELECT order0_.id AS id1_6_ ,order0_.created_by AS created2_6_ ,order0_.created_date AS created3_6_ ,order0_.last_modified_by AS last4_6_ ,order0_.last_modified_date AS last5_6_ ,order0_.status_code AS status6_6_ FROM t_order order0_ INNER JOIN t_order_item orderitems1_ ON order0_.id = orderitems1_.order_id INNER JOIN m_item item2_ ON orderitems1_.item_code = item2_.code WHERE order0_.id = 4 AND ( order0_.status_code IN ('accepted') ) AND ( item2_.name LIKE 'Wat%' ESCAPE '~' ) ORDER BY order0_.id
項番
説明
(19)すべての条件を指定した場合に発行されるJPQLとSQLの例。-- (20) -- conditionValueOfId=4 -- conditionValueOfStatusCodes = ["accepted"] -- conditionValueOfItemName = "" -- JPQL SELECT o FROM ORDER o WHERE o.id = :id AND o.status.code IN :statusCodes ORDER BY o.id -- SQL SELECT order0_.id AS id1_6_ ,order0_.created_by AS created2_6_ ,order0_.created_date AS created3_6_ ,order0_.last_modified_by AS last4_6_ ,order0_.last_modified_date AS last5_6_ ,order0_.status_code AS status6_6_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.id = 4 AND ( order0_.status_code IN ('accepted') ) ORDER BY order0_.id;
項番
説明
(20)iteName
以外の条件を指定した場合に発行されるJPQLとSQLの例。-- (21) -- conditionValueOfId=4 -- conditionValueOfStatusCodes = [] -- conditionValueOfItemName = "" -- JPQL SELECT o FROM ORDER o WHERE o.id = :id ORDER BY o.id -- SQL SELECT order0_.id AS id1_6_ ,order0_.created_by AS created2_6_ ,order0_.created_date AS created3_6_ ,order0_.last_modified_by AS last4_6_ ,order0_.last_modified_date AS last5_6_ ,order0_.status_code AS status6_6_ FROM t_order order0_ WHERE order0_.id = 4 ORDER BY order0_.id;
項番
説明
(21)id
のみを指定した場合に発行されるJPQLとSQLの例。
6.3.2.7.2. 動的条件に一致するEntityをページ検索¶
動的条件に一致するEntityの中から指定ページに該当するEntityを取得するQueryメソッドを実装し、呼び出す。
カスタムRepositoryインタフェース
public interface OrderRepositoryCustom { Page<Order> findPageByCriteria(OrderCriteria criteria, Pageable pageable); // (1) }
項番
説明
(1)動的条件に一致するEntityの中から指定ページに該当するEntityを取得するQueryメソッドを定義する。カスタムRepositoryクラス
public class OrderRepositoryCustomImpl implements OrderRepositoryCustom { @PersistenceContext EntityManager entityManager; public Page<Order> findPageByCriteria(OrderCriteria criteria, Pageable pageable) { // (2) // collect dynamic conditions. final List<String> andConditions = new ArrayList<String>(); final List<String> joinConditions = new ArrayList<String>(); final Map<String, Object> bindParameters = new HashMap<String, Object>(); if (criteria.getId() != null) { andConditions.add("o.id = :id"); bindParameters.put("id", criteria.getId()); } if (!CollectionUtils.isEmpty(criteria.getStatusCodes())) { andConditions.add("o.status.code IN :statusCodes"); bindParameters.put("statusCodes", criteria.getStatusCodes()); } if (StringUtils.hasLength(criteria.getItemName())) { joinConditions.add("o.orderItems oi"); joinConditions.add("oi.item i"); andConditions.add("i.name LIKE :itemName ESCAPE '~'"); bindParameters.put("itemName", QueryEscapeUtils.toLikeCondition(criteria .getItemName())); } if (andConditions.isEmpty()) { List<Order> orders = Collections.emptyList(); return new PageImpl<Order>(orders, pageable, 0); // (3) } // create dynamic query. final StringBuilder queryString = new StringBuilder(); final StringBuilder countQueryString = new StringBuilder(); // (4) final StringBuilder conditionsString = new StringBuilder(); // (4) queryString.append("SELECT o FROM Order o"); countQueryString.append("SELECT COUNT(o) FROM Order o"); // (5) // add join conditions. for (String joinCondition : joinConditions) { conditionsString.append(" JOIN ").append(joinCondition); } // add conditions. Iterator<String> andConditionsIt = andConditions.iterator(); if (andConditionsIt.hasNext()) { conditionsString.append(" WHERE ").append(andConditionsIt.next()); } while (andConditionsIt.hasNext()) { conditionsString.append(" AND ").append(andConditionsIt.next()); } queryString.append(conditionsString); // (6) countQueryString.append(conditionsString); // (6) // add order by condition. // (7) String orderByString = QueryUtils.applySorting("", pageable.getSort(), "o"); queryString.append(orderByString); // create typed query. final TypedQuery<Long> countQuery = entityManager.createQuery( countQueryString.toString(), Long.class); // (8) final TypedQuery<Order> findQuery = entityManager.createQuery( queryString.toString(), Order.class); // bind parameters. for (Map.Entry<String, Object> bindParameter : bindParameters .entrySet()) { countQuery.setParameter(bindParameter.getKey(), bindParameter .getValue()); // (8) findQuery.setParameter(bindParameter.getKey(), bindParameter .getValue()); } long total = countQuery.getSingleResult().longValue(); // (9) List<Order> orders = null; if (total != 0) { // (10) findQuery.setFirstResult(pageable.getOffset()); findQuery.setMaxResults(pageable.getPageSize()); // execute query. orders = findQuery.getResultList(); } else { // (11) orders = Collections.emptyList(); } return new PageImpl<Order>(orders, pageable, total); // (12) } }
項番
説明
(2)動的条件に一致するEntityの中から指定ページに該当するEntityを取得するQueryメソッドを実装する。上記実装例では説明のためにメソッド分割はしていないが、必要に応じてメソッド分割すること。(3)上記実装例では条件が指定されていない場合は、検索する必要がないため、空のページ情報を返却する。(4)件数取得用のQueryを組み立てるための変数と、条件(結合条件とAND条件)を組み立てるための変数を用意する。Entity取得用のQueryと件数取得用のQueryで同じ条件を使用する必要があるため、条件(結合条件とAND条件)を組み立てるための変数を用意している。(5)件数取得用Queryの静的なQuery要素を組み立てる。上記例では、SELECT句とFROM句は静的なQueryの構成要素として組み立てている。(6)Entity取得用Queryと件数取得用Queryの動的なQuery要素を組み立てる。(7)Entity取得用Queryに対してソート条件(ORDER BY句)を動的なQuery要素として組み立てている。ORDER BY句の組み立ては、 Spring Data JPAから提供されているユーティリティ部品(org.springframework.data.jpa.repository.query.QueryUtils
)を使用している。(8)動的に組み立てた件数取得用のQuery文字列をjakarta.persistence.TypedQuery
に変換し、Query実行に必要なバインド用のパラメータを設定する。(9)件数取得用のQueryを実行し、条件に一致する合計件数を取得する。(10)条件に一致するEntityが存在する場合は、Entity取得用Queryを実行し、該当ページの情報を取得する。Entity取得用Queryを実行する際は、取得開始位置(TypedQuery#setFirstResult
)と取得件数(TypedQuery#setMaxResults
)を指定する。(11)条件に一致するEntityが存在しない場合は、空のリストを取得結果とする。(12)該当ページのEntityのリスト、ページ情報、条件に一致した合計件数を引数に指定して、Page
オブジェクトを生成し返却する。Service (Caller)
// condition values for sample. Integer conditionValueOfId = 4; List<String> conditionValueOfStatusCodes = Arrays.asList("accepted"); String conditionValueOfItemName = "Wat"; // implementation of sample. OrderCriteria criteria = new OrderCriteria(); criteria.setId(conditionValueOfId); criteria.setStatusCodes(conditionValueOfStatusCodes); criteria.setItemName(conditionValueOfItemName); Page<Order> orderPage = orderRepository.findPageByCriteria(criteria, pageable); // (13) if (!orderPage.hasContent()) { // omitted }
項番
説明
(13) 動的条件に一致するEntityの中から指定ページに該当するEntityを取得するQueryメソッドを呼び出す。
6.3.2.8. Entityの取得処理の実装¶
Entityの取得方法について、目的別に説明する。
6.3.2.8.1. IDを指定してEntityを1件取得¶
ID(Primary Key)がわかっている場合は、RepositryインタフェースのfindByIdメソッドを呼び出してEntityオブジェクトを取得する。
public Account getAccount(String accountUuid) { Account account = accountRepository.findById(accountUuid); // (1) if (account == null) { // (2) // ... } return account; }
項番
説明
(1) EntityのID(Primary Key)を指定して、RepositryインタフェースのfindById(ID)メソッドを呼び出す。 (2) 指定したIDのEntityが存在しない場合は、返却値がnullになるので、null判定が必要となる。必要に応じて、指定したIDのEntityが存在しない場合の処理を実装する。Note
返却されるEntityオブジェクトについて
指定したIDのEntityオブジェクトが、既に
EntityManager
上で管理されている場合は、永続層(DB)へのアクセスは行われずに、EntityManager
上で管理されているEntityオブジェクトが返却される。そのため、 findByIdメソッドを使用すると、永続層への無駄なアクセスを抑えることが出来る。
Note
関連Entityのロードタイミングについて
Query実行時の関連Entityのロードは、Entityの関連付けアノテーション(
@jakarta.persistence.OneToOne
、@jakarta.persistence.OneToMany
、@jakarta.persistence.ManyToOne
、@jakarta.persistence.ManyToMany
)のfetch属性に指定されている値によって決定される。
jakarta.persistence.FetchType#LAZY
の場合は、JOIN FETCH対象からはずれるため、関連Entityのロードは初回アクセス時に行われる。
jakarta.persistence.FetchType#EAGER
の場合は、JOIN FETCHされるため、関連Entityがロードされる。fetch属性のデフォルトはアノテーションによって異なる。デフォルト値は以下の通り。
@OneToOne
アノテーション :EAGER
@ManyToOne
アノテーション :EAGER
@OneToMany
アノテーション :LAZY
@ManyToMany
アノテーション :LAZY
Note
1:N(N:M)の関連をもつ関連Entityの並び順について
関連Entityのプロパティのアノテーションに、
@jakarta.persistence.OrderBy
アノテーションを指定して制御する。Note
Hibernate 5.2.12以降における関連エンティティのロードについて
関連Entityのキー項目(
@Id
が付与されたフィールド)は主Entityに含まれるため、取得のため関連Entityをロードする必要がない。 このため、Hibernate 5.2.12より関連Entityのキー項目以外にアクセスしたときのみ関連Entityがロードされるよう改善された。例を以下に示す。
@OneToMany(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) @OrderBy // (1) private Set<OrderItem> orderItems;
項番
説明
(1) value属性を指定しない場合は、 IDの昇順となる。Todo
TBD
今後、以下の内容を追加する予定である。
fetch属性をデフォルト値から変更した方がよいケースの例。
6.3.2.8.2. ID以外の条件を指定してEntityを1件取得¶
IDがわからない場合は、ID以外の条件でEntityを検索するQueryメソッドを呼び出す。
Repositroyインタフェース
public interface AccountRepository extends JpaRepository<Account, String> { // (1) @Query("SELECT a FROM Account a WHERE a.accountId = :accountId") Account findByAccountId(@Param("accountId") String accountId); }
項番
説明
(1)ID以外の項目を条件として、Entityを1件検索するQueryメソッドを定義する。Service
public Account getAccount(String accountId) { Account account = accountRepository.findByAccountId(accountId); // (2) if (account == null) { // (3) // omitted }
項番
説明
(2)Repositryインタフェースに実装したQueryメソッドを呼び出す。(3)RepositryインタフェースのfindByIdメソッドと同様に、条件に一致するEntityが存在しない場合は、返却値がnullになるので、null判定が必要となる。必要に応じて、指定した条件に一致するEntityが存在しない場合の処理を実装する。条件に一致するEntityが複数存在した場合は、org.springframework.dao.IncorrectResultSizeDataAccessException
が発生する。Note
返却されるEntityオブジェクトについて
Queryメソッドを呼び出した場合、必ず永続層(DB)に対してQueryが実行される。ただし、Queryを実行して取得されたEntityが既に
EntityManager
上で管理されている場合は、 Queryを実行して取得されたEntityオブジェクトは破棄され、EntityManager
上で管理されているEntityオブジェクトが返却される。Note
ID + α を条件とするQueryメソッドについて
ID + α を条件とするQueryメソッドは、原則作成しないようにすることを推奨する。このケースは、 findByIdメソッドを呼び出して取得したEntityオブジェクトのプロパティ値を比較するロジックを組むことで、同じことが実現できる。
原則作成しないことを推奨する理由は、Queryを実行して取得されたEntityオブジェクトが破棄される可能性があり、無駄なQueryの実行となってしまうためである。IDがわかっているのであれば、 無駄なQueryの実行が行われないfindByIdメソッドを使用した方がよい。特に、性能要件が高いアプリケーションの場合は、意識して実装すること。
ただし、以下の条件に当てはまる場合は、Queryメソッドを使用した方がQueryの実行回数が少なくなる事もあるので、その場合はQueryメソッドを使用してもよい。
+ α の条件の部分に関連オブジェクトのプロパティ(関連テーブルのカラム)が含まれる。
条件となる関連EntityへのFetchTypeに
LAZY
が含まれる。
Note
関連Entityのロードタイミングについて
JOIN FETCHに指定された関連Entityは、Query実行直後にロードされる。
JOIN FETCHに指定がない関連Entityは、関連付けアノテーション(
@OneToOne
、@OneToMany
、@ManyToOne
、@ManyToMany
)のfetch属性に指定されている値によって以下の動作になる。jakarta.persistence.FetchType#LAZY
の場合は、Lazy Load対象となり、関連Entityのロードは初回アクセス時に行われる。jakarta.persistence.FetchType#EAGER
の場合は、関連EntityをロードするためのQueryが実行され、関連Entityのオブジェクトがロードされる。
Note
1:N(N:M)の関連をもつ関連Entityの並び順について
JOIN FETCHに指定された関連Entityの並び順は、JPQLに”ORDER BY”句を指定して制御する。
Query実行後にロードされる関連Entityの並び順は、関連Entityのプロパティのアノテーションに
@jakarta.persistence.OrderBy
アノテーションを指定して制御する。
6.3.2.9. Entityの追加処理の実装¶
Entityの追加方法について、目的別に実装例を説明する。
6.3.2.9.1. Entityの追加¶
Entityを追加したい場合は、Entityオブジェクトを生成し、Repositryインタフェースのsaveメソッドを呼び出す。
Service
Order order = new Order("accepted"); // (1) order = orderRepository.save(order); // (2)
項番
説明
(1)Entityオブジェクトのインスタンスを生成し、必要なプロパティに値を設定する。上記例では、IDの設定はJPAのID採番機能を使用している。JPAのID採番機能を使用する場合は、アプリケーションコードでIDの設定は行ってはいけない。アプリケーションコードでIDを設定してしまうと、EntityManager
のmergeメソッドが呼び出されるため、不要な処理が実行されてしまう。(2)Repositoryインタフェースのsaveメソッドを呼び出し、(1)で生成したEntityオブジェクトをEntityManager
の管理対象にする。EntityManager
によって管理されるEntityオブジェクトは、saveメソッドの引数に渡したEntityオブジェクトではなく、saveメソッドから返却されたEntityオブジェクトになるので注意すること。IDは、このタイミングでJPAのID採番機能によって設定される。Note
mergeメソッドが呼び出されるデメリット
EntityManager
のmergeメソッドは、EntityをEntityManager
の管理対象にする際に、永続層(DB)から同じIDをもつEntityを取得する仕組みになっている。Entityの追加処理としては、Entityの取得処理は無駄な処理となる。高い性能要件があるアプリケーションの場合は、IDの採番タイミングを意識すること。
Note
制約エラーのハンドリング
saveメソッドを呼び出したタイミングでは、永続層(DB)にQuery(INSERT)は実行されない。そのため、一意制約違反などの制約系のエラーをハンドリングする必要がある場合は、Repositoryインタフェースのsaveメソッドではなく、saveAndFlushメソッドまたはflushメソッドを呼び出す必要がある。
Entity
@Entity // (3) @Table(name = "t_order") // (4) public class Order implements Serializable { // (5) @SequenceGenerator(name = "GEN_ORDER_ID", sequenceName = "s_order_id", allocationSize = 1) @GeneratedValue(strategy = GenerationType.SEQUENCE, generator = "GEN_ORDER_ID") @Id // (6) private int id; // (7) @ManyToOne @JoinColumn(name = "status_code") private OrderStatus status; // omitted public Order(String statusCode) { this.status = new OrderStatus(statusCode); } // omitted }
項番
説明
(3)Entityクラスには@jakarta.persistence.Entity
アノテーションを付与する。(4)Entityクラスとマッピングするテーブル名は@jakarta.persistence.Table
アノテーションのname属性に指定する。エンティティ名からテーブル名が解決できる場合は指定しなくてもよいが、解決できない場合は指定すること。(5)JPAのID採番機能を使用するために必要なアノテーションを指定している。JPAのID採番機能を使用する場合は、@jakarta.persistence.GeneratedValue
アノテーションを指定する。シーケンスオブジェクトを使用する場合は、@jakarta.persistence.SequenceGenerator
アノテーション、採番テーブルを使用する場合は、@jakarta.persistence.TableGenerator
アノテーションの指定も必要となる。上記例では、s_order_id
という名前のシーケンスオブジェクトを使ってIDを採番している。(6)主キーを保持するプロパティに、@jakarta.persistence.Id
アノテーションを付与する。複合キーの場合は、@jakarta.persistence.EmbeddedId
アノテーションを付与する。(7)別のEntityとの関連を保持するプロパティに、 関連付けアノテーション(@OneToOne
、@OneToMany
、@ManyToOne
、@ManyToMany
)を付与する。Note
ID採番用のアノテーションについて
各アノテーションの詳細は、Jakarta Persistence APIのSpecificationを参照されたい。
@GeneratedValue
: 11.1.20 GeneratedValue Annotation@SequenceGenerator
: 11.1.48 SequenceGenerator Annotation@TableGenerator
: 11.1.51 TableGenerator Annotation
Note
IDの採番方法について
採番方法は、
@GeneratedValue
アノテーションのstrategy属性にjakarta.persistence.GenerationType
列挙の値を指定する。指定可能な値は以下の通り。
TABLE
: 永続層(DB)のテーブルを使用してIDを採番する。SEQUENCE
: 永続層(DB)のシーケンスオブジェクトを使用してIDを採番する。IDENTITY
: 永続層(DB)のidentity列を使用してIDを採番する。AUTO
: 永続層(DB)に最も適切な採番方法を選択してIDを採番する。
原則
AUTO
は使用せず、明示的に使用するタイプを指定することを推奨する。
6.3.2.9.2. Entityと関連Entityの追加¶
Entityと関連Entityを一緒に追加したい場合は、Repositryインタフェースのsaveメソッドを呼び出してEntityオブジェクトをEntityManager
の管理対象にした後に、関連Entityのオブジェクトを生成し、Entityオブジェクトに関連づける。
この方法を使用するためには、関連EntityのCascade対象の操作に、persist
が含まれている必要がある。
Note
Cascade対象となった場合の挙動について
関連EntityがCascade対象に指定されている場合、Entityに対するJPAの操作(persist
,merge
,remove
,refresh
,detach
)が関連Entityに対して、連鎖して行われる。
Spring Data JPAのRepositoryインタフェースの操作に対するマッピングは以下の通り。
saveメソッド :
persist
ormerge
deleteメソッド :
remove
refresh
,detach
は Spring Data JPAのデフォルト実装で実行されることはない。
Service
String itemCode = "ITM0000001"; int itemQuantity = 10; String wayToPay = "card"; Order order = new Order("accepted"); order = orderRepository.save(order); // (1) OrderItem orderItem = new OrderItem(order.getId(), itemCode, itemQuantity); order.setOrderItems(Collections.singleton(orderItem)); // (2) order.setOrderPay(new OrderPay(order.getId(), wayToPay)); // (2)
項番
説明
(1)Repositoryインタフェースのsaveメソッドを呼び出し、まずEntityオブジェクトをEntityManager
の管理対象にする。上記例では、Entityオブジェクトに対して、関連Entityのオブジェクトを設定する前に、saveメソッドを呼び出している。これは、関連EntityのIDの一部として使用されるEntityのID(orderId)を採番する必要があるためである。(2)EntityManager
の管理対象となっているEntityオブジェクトに対して、関連Entityのオブジェクトを設定する。トランザクションのコミット時に、Entityオブジェクトへのpersist操作(INSERT)が、関連Entityのオブジェクトに対して連鎖される。Entity
@Entity @Table(name = "t_order") public class Order implements Serializable { private static final long serialVersionUID = 1L; @Id @SequenceGenerator(name = "GEN_ORDER_ID", sequenceName = "s_order_id", allocationSize = 1) @GeneratedValue(strategy = GenerationType.SEQUENCE, generator = "GEN_ORDER_ID") private int id; @OneToMany(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, // (3) orphanRemoval = true) @OrderBy private Set<OrderItem> orderItems; @OneToOne(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) private OrderPay orderPay; @ManyToOne @JoinColumn(name = "status_code") private OrderStatus status; // omitted public Order(String statusCode) { this.status = new OrderStatus(statusCode); } // omitted }
項番
説明
(3)関連アノテーションのcascade属性に、Cascade対象にする操作のタイプ(jakarta.persistence.CascadeType
)を指定する。上記例では、すべての操作を関連EntityのCascade対象としている。特に理由がない場合は、すべての操作をCascade対象にしておくことを推奨する。Warning
cascade属性を指定してはいけない関連Entityについて
トランザクション系のEntityからコード系およびマスタ系のEntityに関連をもつ場合は、cascade属性は指定してはいけない。
上記例だと、
OrderStatus
はコード系のEntityになるのでOrder
のstatus
プロパティの@ManyToOne
アノテーションにcascade属性は指定してはいけない。関連Entity
@Entity @Table(name = "t_order_item") public class OrderItem implements Serializable { @EmbeddedId private OrderItemPK id; private int quantity; @ManyToOne @JoinColumn(name = "order_id", insertable = false, updatable = false) private Order order; // omitted public OrderItem(Integer orderId, String itemCode, int quantity) { this.id = new OrderItemPK(orderId, itemCode); this.quantity = quantity; } // omitted } @Entity @Table(name = "t_order_pay") public class OrderPay implements Serializable { @Id @Column(name = "order_id") private Integer orderId; @Column(name = "way_to_pay") private String wayToPay; @OneToOne @JoinColumn(name = "order_id") private Order order; // omitted public OrderPay(int orderId, String wayToPay) { this.orderId = orderId; this.wayToPay = wayToPay; } // omitted }
6.3.2.9.3. 関連Entityの追加¶
関連Entityを追加したい場合は、Repositoryインタフェース経由で取得したEntityオブジェクトに対して、生成した関連Entityのオブジェクトを関連付ける。
この方法を使用するためには、関連EntityのCascade対象の操作に、persist
とmerge
が含まれている必要がある。
String itemCode = "ITM0000003"; int quantity = 30; Order order = orderRepository.findById(orderId).get(); // (1) OrderItem orderItem = new OrderItem(order.getId(), itemCode, quantity); order.getOrderItems().add(orderItem); // (2) OrderPay orderPay = order.getOrderPay(); if (orderPay == null) { order.setOrderPay(new OrderPay(order.getId(), "cash")); // (3) } else { orderPay.setWayToPay("cash"); }
項番
説明
(1) Repositoryインタフェースのメソッドを使用して、Entityオブジェクトを取得する。 (2) 1:Nの関連Entityの場合、生成した関連Entityのオブジェクトを、Entityオブジェクトから取得したコレクションに追加する。 (3) 1:1の関連Entityの場合、生成した関連EntityのオブジェクトをEntityオブジェクトに設定する。
6.3.2.9.4. 関連Entityの直接追加¶
関連Entityを、親のEntityオブジェクトに関連付けせずに直接追加したい場合は、関連Entity用のRepositoryインタフェースを使用して保存する。
String itemCode = "ITM0000003"; int quantity = 40; OrderItem orderItem = new OrderItem(orderId, itemCode, quantity); // (1) orderItemRepository.save(orderItem); // (2)
項番
説明
(1) 関連Entityのオブジェクトを生成する。 (2) 関連Entity用のRepositoryインタフェースのsaveメソッドを呼び出す。Note
関連Entityを直接保存するメリット
生成されるオブジェクトの数が少なくなる。 親のEntityオブジェクトを取得する場合、処理に不要な関連Entityのオブジェクトが生成される可能性がある。
Note
関連Entityを直接保存するデメリット
IDの一部に親EntityのIDを使用している場合、saveメソッドを呼び出す前にIDを設定しておく必要がある。 IDを設定してしまうとSpring Data JPAのデフォルト実装は
EntityManager
のmergeメソッドを呼び出す。 そのため、必ず永続層(DB)からIDが同じEntityを取得する処理が実行されてしまう。Warning
追加後に親のEntityオブジェクトを利用する際の注意点
関連Entity用Repositoryのsaveメソッドを使って関連Entity追加した場合は、親にあたるEntityオブジェクトには関連付けられていないため、親のEntityオブジェクトを経由して取得することができない。
回避方法は、
関連Entityのオブジェクトを直接追加するのではなく、親のEntityオブジェクトに関連付けて追加するようにする。
saveAndFlushメソッドを使用することで、永続層(DB)と同期を親のEntityを取得する前に行う。
このケースの場合、特に理由がないのであれば、前者の方法で関連Entityのオブジェクトを追加すること。
後者は、親にあたるEntityオブジェクトが既に管理状態のEntityになっていた場合に、問題を回避することができない。
6.3.2.10. Entityの更新処理の実装¶
Entityの更新方法について、目的別に実装例を説明する。
6.3.2.10.1. Entityの更新¶
Entityを更新したい場合は、Repositoryインタフェースのメソッドを使用して取得したEntityオブジェクトに対して、変更したい値を設定する。
Order order = orderRepository.findById(orderId).get(); // (1) order.setStatus(new OrderStatus("checking")); // (2)
項番
説明
(1) Repositoryインタフェースのメソッドを使用して、Entityオブジェクトを取得する。 (2) Entityオブジェクトの状態を、setterメソッドを呼び出して更新する。Note
Repositoryのsaveメソッドの呼び出しについて
Repositoryインタフェースのメソッドを使用して取得したEntityオブジェクトは、
EntityManager
上で管理されている。
EntityManager
上で管理されているEntityオブジェクトは、setterメソッドを使ってオブジェクトの状態を変更するだけで、トランザクションコミット時に変更内容が永続層(DB)に反映される仕組みになっている。そのため、Repositoryインタフェースのsaveメソッドを明示的に呼び出す必要はない。ただし、Entityオブジェクトが
EntityManager
上で管理されていない場合は、 saveメソッドを呼び出す必要がある。例えば、画面から送信されたリクエストパラメータをもとにEntityオブジェクトを生成した場合などが、このケースに当てはまる。
6.3.2.10.2. 関連Entityの更新¶
関連Entityを更新したい場合は、Repositoryインタフェースのメソッドを使用して取得したEntityオブジェクトから取得した関連Entityのオブジェクトに対して、変更したい値を設定する。
この方法を使用するためには、関連EntityのCascade対象の操作に、merge
が含まれている必要がある。
Order order = orderRepository.findById(orderId).get(); // (1) for (OrderItem orderItem : order.getOrderItems()) { int newQuantity = quantityMap.get(orderItem.getId().getItemCode()); orderItem.setQuantity(newQuantity); // (2) } order.getOrderPay().setWayToPay("cash"); // (3)
項番
説明
(1) Repositoryインタフェースのメソッドを使用して、Entityオブジェクトを取得する。 (2) 1:Nの関連Entityの場合、Entityオブジェクトから取得したコレクションに格納されている関連Entityのオブジェクトの状態を、setterメソッドを呼び出して更新する。 (3) 1:1の関連Entityの場合、Entityオブジェクトから取得した関連Entityのオブジェクトの状態を、setterメソッドを呼び出して更新する。
6.3.2.10.3. 関連Entityの直接更新¶
関連Entityを、親のEntityを使用せず直接更新したい場合は、関連Entity用のRepositoryインタフェースのメソッドを使用して取得したEntityオブジェクトに対して、変更したい値を設定する。
int quantity = 43; OrderItem orderItem = orderItemRepository.findById(new OrderItemPK( orderId, itemCode)).get(); // (1) orderItem.setQuantity(quantity); // (2)
項番
説明
(1) 関連EntityのRepositoryインタフェースのfindByIdメソッドを呼び出して、関連Entityのオブジェクトを取得する。 (2) 関連Entityのオブジェクトの状態を、setterメソッドを使って更新する。Note
更新後に親のEntityを利用した場合の動作について
関連Entity用Repositoryのsaveメソッドを使って関連Entityを更新した場合は、追加時とは異なり、親のEntityオブジェクトで保持している関連Entityにも反映される。これは、
EntityManager
上で管理されている同じインスタンスの参照を保持しているためである。
6.3.2.10.4. Queryメソッドを使用して更新¶
6.3.2.11. Entityの削除処理の実装¶
6.3.2.11.1. Entityと関連Entityの削除¶
Entityと関連Entityを一緒に削除したい場合は、Repositryインタフェースのdeleteメソッドを呼び出す。
この方法を使用するためには、関連EntityのCascade対象の操作にremove
が含まれているか、または関連Entityを削除するための設定を有効(関連付けアノテーションのorphanRemoval属性をtrue
)にする必要がある。
Service
orderRepository.deleteById(orderId); // (1)
項番
説明
(1)IDまたはEntityオブジェクトを指定してRepositryインタフェースのdeleteメソッドを呼び出す。Entity
@Entity @Table(name = "t_order") public class Order implements Serializable { // omitted @OneToMany(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) // (2) @OrderBy private Set<OrderItem> orderItems; // omitted }
項番
説明
(2)Cascade対象の操作にremove
を含め、 関連Entityを削除するための設定を有効 (関連付けアノテーションのorphanRemoval属性をtrue
)にする。Note
関連Entityの削除について
関連Entityのオブジェクトを一緒に削除したくない場合は、 Cascade対象の操作に
remove
が含まれないようにしておく必要がある。また、関連付けアノテーションのorphanRemoval属性もfalse
に指定しておくこと。
6.3.2.11.2. 関連Entityの削除¶
関連Entityを削除したい場合は、Repositoryインタフェース経由で取得したEntityオブジェクトから、関連Entityのオブジェクトを削除する。
この方法を使用するためには、関連Entityを削除するための設定を有効(関連付けアノテーションのorphanRemoval属性をtrue
)にする必要がある。
Note
関連Entityを削除する設定を有効にした場合の挙動について
関連Entityを削除する設定を有効にした場合、以下の動作になる。
1:Nの関連Entityの場合は、関連Entityのオブジェクトをコレクションの中から削除すると、トランザクションコミット時に永続層(DB)からも削除される。
1:1の関連Entityの場合は、関連Entityを
null
に設定すると、トランザクションコミット時に永続層(DB)からも削除される。orphanRemoval属性のデフォルト値となっている
false
が指定されている場合は、メモリ上からは消えるが、削除した関連Entityのオブジェクトに対する永続処理(UPDATE/DELETE)は行われない。
Service
Order order = orderRepository.findById(orderId); // (1) // (2) Set<OrderItem> orderItemsOfRemoveTarget = new LinkedHashSet<OrderItem>(); // (3) for (OrderItem orderItem : order.getOrderItems()) { String itemCode = orderItem.getId().getItemCode(); if (quantityMap.containsKey(itemCode)) { int newQuantity = quantityMap.get(itemCode); orderItem.setQuantity(newQuantity); } else { orderItemsOfRemoveTarget.add(orderItem); // (4) } } order.getOrderItems().removeAll(orderItemsOfRemoveTarget); // (5) order.setOrderPay(null); // (6)
項番
説明
(1)Repositoryインタフェースのメソッドを使用して、Entityオブジェクトを取得する。(2)1:Nの関連Entityを削除する実装例について説明する。(3)削除する関連Entityのオブジェクトを格納しておくコレクションを用意する。(4)削除対象の関連Entityのオブジェクトを、(3)のコレクションに追加する。(5)削除対象の関連Entityのオブジェクトから取得したコレクションの中から削除する。(6)1:1の関連Entityの場合、削除したい関連Entityのオブジェクトを保持するプロパティをnull
に設定する。Entity
@Entity @Table(name = "t_order") public class Order implements Serializable { @Id @SequenceGenerator(name = "GEN_ORDER_ID", sequenceName = "s_order_id", allocationSize = 1) @GeneratedValue(strategy = GenerationType.SEQUENCE, generator = "GEN_ORDER_ID") private int id; @OneToMany(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) // (7) @OrderBy private Set<OrderItem> orderItems; @OneToOne(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) // (7) private OrderPay orderPay; @ManyToOne @JoinColumn(name = "status_code") private OrderStatus status; // omitted }
項番
説明
(7)関連Entityを削除するための設定を有効(関連付けアノテーションのorphanRemoval属性をtrue
)にする。Note
orphanRemoval属性が指定できる関連付けアノテーションについて
orphanRemoval属性が指定できる関連付けアノテーションは、
@OneToOne
と@OneToMany
の2つとなっている。
6.3.2.11.3. 関連Entityの直接削除¶
関連Entityを、親のEntityを使用せず直接削除したい場合は、関連EntityのRepositoryインタフェースのdeleteメソッドを呼び出す。
int quantity = 43; orderItemRepository.deleteByOrderItem(new OrderItemPK(orderId, itemCode)); // (1)
項番
説明
(1) IDまたはEntityオブジェクトを指定して関連Entity用Repositryインタフェースのdeleteメソッドを呼び出す。Warning
直接削除の注意点
関連Entity用Repositoryのdeleteメソッドを呼び出した場合、永続層(DB)から削除されないケースがあるので注意すること。
削除されないケースは以下の通り。
deleteメソッド内の中でfindByIdメソッドを呼び出しているため、親のEntityとの関連が
@OneToOne
の場合は、親のEntityがEntityManager
上で管理されてしまう。 親のEntityが管理対象になった際に、deleteメソッドで削除しようとしていた関連Entityが親のEntityオブジェクト内にロードされる可能性がある。 親のEntityオブジェクト内にロードされてしまうと、永続層(DB)から削除されない。deleteメソッド呼び出し後に、親のEntityオブジェクトを取得した場合、deleteメソッドで削除した関連Entityが親のEntityオブジェクト内にロードされる可能性がある。 親のEntityオブジェクト内にロードされてしまうと、永続層(DB)から削除されない。
回避方法は、
関連Entityのオブジェクトを直接削除するのではなく、親のEntityとの関連付けを削除するようにする。
関連付けアノテーションの見直しを行うことで回避出来る可能性はあるが、確実な回避方法は、直接削除を行わないようにする方法である。
6.3.2.11.4. Queryメソッドを使用して削除¶
Warning
関連オブジェクトの扱いについて
Queryメソッドを使用して永続層(DB)から直接Entityを削除した場合、関連付けアノテーションの指定に関係なく、関連Entityのオブジェクトは永続層から削除されない。
Repositoryインタフェースのvoid deleteAllInBatch(Iterable<T> entities)
とvoid deleteAllInBatch()
も同様の動作となる。
6.3.2.12. LIKE検索時のエスケープについて¶
org.terasoluna.gfw.common.query.QueryEscapeUtils
クラスのメソッドを使用する事で実現することができる。以下に、共通ライブラリから提供しているエスケープ処理の使用方法について説明する。
6.3.2.12.1. 一致方法をQuery側で指定する場合の使用方法¶
一致方法(前方一致、後方一致、部分一致)の指定をJPQLとして指定する場合は、エスケープのみ行うメソッドを使用する。
Repository
// (1) (2) @Query("SELECT a FROM Article a WHERE" + " (a.title LIKE %:word% ESCAPE '~' OR a.overview LIKE %:word% ESCAPE '~')") Page<Article> findPageBy(@Param("word") String word, Pageable pageable);
項番
説明
(1)@Query
アノテーションに指定するJPQL内にLIKE検索用のワイルドカード( “%
“または “_
“)を指定する。上記例では、引数word
の前後にワイルドカード( “%
“)を指定することで、一致方法を部分一致にしている。(2)共通ライブラリから提供しているエスケープ処理は、エスケープ文字として”~
“を使用しているため、 LIKE句の後ろにESCAPE '~'
を指定する。Note
ワイルドカード文字 “_” について
ワイルドカード文字”
%
“は、「@Query アノテーションで指定する」で説明しているように、@Query
アノテーションを利用した場合に限り直接JPQL内で使用することができる。 ワイルドカード文字”_
“は直接JPQL内のLIKE検索に利用することはできないため、下記2方法で利用すること。ワイルドカード文字”
_
“をバインド変数内に含める。ワイルドカード文字”
_
“をCONCAT
などのデータベース製品が持つ文字列結合機能を利用してバインド変数に結合する。
Service
@Transactional(readOnly = true) public Page<Article> searchArticle(ArticleSearchCriteria criteria, Pageable pageable) { String escapedWord = QueryEscapeUtils.toLikeCondition(criteria.getWord()); // (3) Page<Article> page = articleRepository.findPageBy(escapedWord, pageable); // (4) return page; }
項番
説明
(3)LIKE検索の一致方法をQuery側で指定する場合は、QueryEscapeUtils#toLikeCondition(String)
メソッドを呼び出し、LIKE検索用のエスケープのみ行う。(4)LIKE検索用にエスケープされた値をQueryメソッドの引数に渡す。
6.3.2.12.2. 一致方法をロジック側で指定する場合の使用方法¶
一致方法(前方一致、後方一致、部分一致)をロジック側で判定する場合は、エスケープされた値にワイルドカードを付与するメソッドを使用する。
Repository
// (1) @Query("SELECT a FROM Article a WHERE" + " (a.title LIKE :word ESCAPE '~' OR a.overview LIKE :word ESCAPE '~')") Page<Article> findPageBy(@Param("word") String word, Pageable pageable);
項番
説明
(1)@Query
アノテーションに指定するJPQL内にLIKE検索用のワイルドカードは指定しない。
Service
@Transactional(readOnly = true) public Page<Article> searchArticle(ArticleSearchCriteria criteria, Pageable pageable) { String word = QueryEscapeUtils .toContainingCondition(criteria.getWord()); // (2) Page<Article> page = articleRepository.findPageBy(word, pageable); // (3) return page; }
項番
説明
(2)ロジック側で一致方法を指定する場合は、 以下の何れかのメソッドを呼び出し、LIKE検索用のエスケープとLIKE検索用のワイルドカードを付与する。QueryEscapeUtils#toStartingWithCondition(String)
QueryEscapeUtils#toEndingWithCondition(String)
QueryEscapeUtils#toContainingCondition(String)
(3)LIKE検索用にエスケープ+ワイルドカードが付与された値をQueryメソッドの引数に渡す。
6.3.2.13. JOIN FETCHについて¶
EAGER
となっているプロパティは必ず JOIN FETCH すること。LAZY
となっているプロパティについては、使用頻度を考慮して JOIN FETCH するか判断すること。Repository
@Query("SELECT a FROM Article a" + " INNER JOIN FETCH a.articleClass" // (1) + " WHERE a.publishedDate = :publishedDate" + " ORDER BY a.articleId DESC") List<Article> findAllByPublishedDate( @Param("publishedDate") Date publishedDate);
項番
説明
(1)[LEFT [OUTER] | INNER] JOIN FETCH Join対象のプロパティ
の形式で指定する。具体的には以下のパターンとなる。1.LEFT JOIN FETCH
関連Entityが存在しない場合でもEntityは取得される。SQLとしては、left outer join RelatedTable r on m.fkColumn = r.fkColumn
となる。2.LEFT OUTER JOIN FETCH
1と同様。3.INNER JOIN FETCH
関連Entityが存在しない場合は、Entityは取得されない。SQLとしては、inner join RelatedTable r on m.fkColumn = r.fkColumn
となる。4.JOIN FETCH
3と同様。上記例では、ArticleクラスのarticleClassプロパティをJOIN FETCH対象として指定している。
6.3.3. How to extend¶
6.3.3.1. カスタムメソッドの追加方法¶
Spring Dataでは、Repositoryインタフェースに対して、任意のカスタムメソッドを追加する仕組みを提供している。
項番
追加方法
使用ケース
Spring Dataより提供されているQueryメソッドの仕組みで表現できないQueryを実装する必要がある場合に使用する。動的Queryを実装する場合は、この方法を使用してメソッドを追加する。
すべてのRepositoryインタフェースで使用できるような汎用的なQueryを実装する必要がある場合に使用する。プロジェクト固有の汎用Queryを実装する場合は、この方法を使用してメソッドを追加する。Spring Data JPAから提供されているデフォルト実装(SimpleJpaRepository
)の振る舞いを変更する必要がある場合、この仕組みを使用してメソッドをオーバーライドすることで対応することが出来る。
6.3.3.1.1. Entity毎のRepositoryインタフェースに個別に追加する¶
Entity毎のRepositoryインタフェースに個別にカスタムメソッドを追加する方法について説明する。
Entity毎のカスタムRepositoryインタフェース
// (1) public interface OrderRepositoryCustom { // (2) Page<Order> findByCriteria(OrderCriteria criteria, Pageable pageable); }
項番
説明
(1)カスタムメソッドを定義するカスタムインタフェースを作成する。インタフェース名に特に制約はないが、Entity毎のRepositoryインタフェース名 +Custom
とすることを推奨する。(2)カスタムメソッドを定義する。Entity毎のカスタムRepositoryクラス
// (3) public class OrderRepositoryImpl implements OrderRepositoryCustom { @PersistenceContext EntityManager entityManager; // (4) // (5) public Page<Order> findByCriteria(OrderCriteria criteria, Pageable pageable) { // omitted return new PageImpl<Order>(orders, pageable, totalCount); } }
項番
説明
(3)カスタムインタフェースの実装クラスを作成する。クラス名は、Entity毎のRepositoryインタフェース名 +Impl
とすること。(4)Queryを実行するために必要となるjakarta.persistence.EntityManager
は@jakarta.persistence.PersistenceContext
アノテーションを使ってインジェクションする。(5)カスタムインタフェースに定義したメソッドを実装する。Entity毎のRepositoryインタフェース
public interface OrderRepository extends JpaRepository<Order, Integer>, OrderRepositoryCustom { // (6) // omitted }
項番
説明
(6)Entity毎のRepositoryインタフェースでカスタムインタフェースを継承する。Repositoryインタフェースを継承することで、実行時にカスタムインタフェースの実装クラスのメソッドが呼び出される。Service(Caller)
public Page<Order> search(OrderCriteria criteria, Pageable pageable) { return orderRepository.findByCriteria(criteria, pageable); // (7) }
項番
説明
(7)呼び出し側は、他のメソッドと同様にEntity毎のRepositoryインタフェースのメソッドを呼び出せばよい。上記例では、OrderRepository#findByCriteria(OrderCriteria, Pageable)
を呼び出すとOrderRepositoryImpl#findByCriteria(OrderCriteria, Pageable)
が実行される。
6.3.3.1.2. すべてのRepositoryインタフェースに一括で追加する¶
すべてのRepositoryインタフェースに一括でカスタムメソッドを追加する方法について説明する。
下記の実装例では、取得したEntityとのバージョンチェックを行い、バージョンが異なる場合に楽観排他エラーとするメソッドを追加している。
共通のRepositoryインタフェース
// (1) @NoRepositoryBean // (2) public interface MyProjectRepository<T, ID extends Serializable> extends JpaRepository<T, ID> { // (3) T findByIdWithValidVersion(ID id, Integer version); }
項番
説明
(1)追加するメソッドを定義するための共通Repositoryインタフェースを作成する。上記例では、Spring Dataから提供されているJpaRepository
を継承して共通Repositoryインタフェースを作成している。(2)共通Repositoryインタフェースの実装クラス( 例だとMyProjectRepositoryImpl
)が、RepositoryのBeanとして自動登録されないようにするためのアノテーション。共通Repositoryインタフェースの実装クラスを<jpa:repositories>要素のbase-package属性で指定したパッケージ配下に格納する場合は、このアノテーションを指定しないと起動時にエラーとなる。(3)追加するメソッドを定義する。例では、取得したEntityのバージョンチェックを行うメソッドを追加している。共通Repositoryインタフェースの実装クラス
// (6) public class MyProjectRepositoryImpl<T, ID extends Serializable> extends SimpleJpaRepository<T, ID> implements MyProjectRepository<T, ID> { private JpaEntityInformation<T, ID> entityInformation; private EntityManager entityManager; Method versionMethod; // (7) public MyProjectRepositoryImpl( JpaEntityInformation<T, ID> entityInformation, EntityManager entityManager) { super(entityInformation, entityManager); this.entityInformation = entityInformation; // (8) this.entityManager = entityManager; // (8) try { versionMethod = entityInformation.getJavaType().getMethod("getVersion"); } catch (NoSuchMethodException | SecurityException e) { } } // (9) public T findByIdWithValidVersion(ID id, Integer version) { if (versionMethod == null) { throw new UnsupportedOperationException( String.format( "Does not found version field in entity class. class is '%s'.", entityInformation.getJavaType().getName())); } T entity = findById(id); if (entity != null && version != null) { Integer currentVersion; try { currentVersion = (Integer) versionMethod.invoke(entity); } catch (IllegalAccessException | IllegalArgumentException | InvocationTargetException e) { throw new IllegalStateException(e); } if (!version.equals(currentVersion)) { throw new ObjectOptimisticLockingFailureException( entityInformation.getJavaType().getName(), id); } } return entity; } }
項番
説明
(6)共通Repositoryインタフェース(例だと、MyProjectRepository
)の実装クラスを作成する。上記例では、Spring Dataから提供されているSimpleJpaRepository
を継承して実装クラスを作成している。(7)org.springframework.data.jpa.repository.support.JpaEntityInformation
とjakarta.persistence.EntityManager
を引数にとるコンストラクタを作成する。(8)追加するメソッドの処理で必要な場合は、JpaEntityInformation
およびEntityManager
をフィールドに保持しておく。(9)共通Repositoryインタフェースに定義したメソッドの実装を行う。Note
デフォルト実装の変更
デフォルト実装(
SimpleJpaRepository
)の振る舞いを変更する場合は、このクラスで振る舞いを変更したいメソッドをオーバーライドすればよい。Entity毎のRepositoryインタフェース
public interface OrderRepository extends MyProjectRepository<Order, Integer> { // (10) // omitted }
項番
説明
(10)Entity毎のRepositoryインタフェースでは、作成した共通インタフェース(例だとMyProjectRepository
)を継承先として指定する。
XxxInfraConfig.java
@Configuration @EnableJpaRepositories(basePackages = "xxx.yyy.zzz.domain.repository" repositoryBaseClass = MyProjectRepositoryImpl.class) // (11) public class XxxInfraConfig { // omitted
項番
説明
(11)@EnableJpaRepositories
アノテーションの要素のrepositoryBaseClass属性に、作成した共通Repositoryインタフェースの実装クラス(例だとMyProjectRepositoryImpl
) のクラス名を指定する。
xxx-infra.xml
<jpa:repositories base-package="xxx.yyy.zzz.domain.repository" base-class="xxx.yyy.zzz.domain.repository.MyProjectRepositoryImpl" /> <!-- (11) -->
項番
説明
(11)<jpa:repositories>要素のbase-class属性に、作成した共通Repositoryインタフェースの実装クラス(例だとMyProjectRepositoryImpl
) のクラス名を指定する。
Service(Caller)
public Order updateOrder(Order chngedOrder, Integer version) { Order order = orderRepository.findByIdWithValidVersion(chngedOrder.getId(), version); // (12) // omitted return order; }
項番
説明
(12)呼び出し側は、他のメソッドと同様にEntity毎のRepositoryインタフェースのメソッドを呼び出せばよい。上記例では、OrderRepository#findByIdWithValidVersion(Integer, Integer)
を呼び出すとMyProjectRepositoryImpl#findByIdWithValidVersion(Integer, Integer)
が実行される。
6.3.3.2. Entity以外のオブジェクトにQueryの取得結果を格納する方法¶
Queryの取得結果をEntityにマッピングするのではなく、別のオブジェクトにマッピングすることができる。 これは、永続層(DB)に格納されているレコードをEntity以外のオブジェクト(JavaBean)として扱いたい時に使用する。
Note
想定される適用ケース
- Query内で集計関数を使用して集計済みの情報を取得したい場合は、集計結果をEntityにマッピングすることはできたいため、別のオブジェクトにマッピングする必要がある。
- 巨大なEntityの中の一部の情報のみ参照したい場合や、ネストが深い関連Entityの一部の情報のみ参照したい場合は、必要なプロパティのみ定義したJavaBeanにマッピングして取得する事を検討した方がよい場合がある。Entityとして取得した場合、アプリケーションの処理に不要な項目に対するマッピング処理が行われる点や、処理に不要な情報を取得することでメモリを無駄に使用する点などにより、処理性能に影響を与える場合があるためである。処理性能に大きな影響を与えない場合は、Entityとして取得してよい。
以下の実装例を示す。
JavaBean
// (1) public class OrderSummary implements Serializable { private Integer id; private Long totalPrice; // omitted public OrderSummary(Integer id, Long totalPrice) { // (2) super(); this.id = id; this.totalPrice = totalPrice; } // omitted }
項番
説明
(1)Query結果を格納するJavaBeanを作成する。(2)Queryを実行した結果でオブジェクト生成するためのコンストラクタを用意する。Repositoryインタフェース
// (3) @Query("SELECT NEW xxx.yyy.zzz.domain.model.OrderSummary(o.id, SUM(i.price*oi.quantity))" + " FROM Order o LEFT JOIN o.orderItems oi LEFT JOIN oi.item i" + " GROUP BY o.id ORDER BY o.id DESC") List<OrderSummary> findOrderSummaries();
項番
説明
(3)(2)で作成したコンストラクタを指定する。“NEW”キーワードの後に FQCNでコンストラクタを指定する。
6.3.3.3. Audit用プロパティの設定方法¶
Spring Data JPAより提供されている、永続層のAudit用プロパティ(作成者、作成日時、最終更新者、最終更新日時)に値を設定する仕組みと適用方法について説明する。
Note
アプリケーションのコードからAudit用プロパティに値を設定する処理を切り離す理由
- Audit用プロパティへの値の設定は、一般的にアプリケーション要件ではなく、データの監査要件によって必要になる処理である。本質的にはServiceなどのアプリケーション内のコードで意識すべき処理ではないため、アプリケーションのコードから切り離した方がよい。
- JPAでは、永続層から取得したEntityに対して値の変更があった場合のみ、永続層へ反映(SQLを発行)する仕様になっており、永続層へ無駄なアクセスが行われないように制御されている。ServiceなどのアプリケーションのコードでAudit用プロパティに無条件に値を設定してしまうと、Audit用プロパティ以外に変更がない場合でも、永続層への反映が行われることになるため、JPAの有効な機能を無駄にしてしまう。値の変更があった場合のみAudit用プロパティに値を設定するように制御すればこの問題は回避できるが、アプリケーションのコードが煩雑になるため推奨できない。
Note
値の変更有無に関係なく永続層のAudit用カラムを更新する必要がある場合
値に変更がなくても永続層のAudit用カラム(最終更新者、最終更新日時)を更新するのが、アプリケーションの仕様となっている場合は、ServiceなどのアプリケーションのコードでAudit用プロパティを設定する必要がある。
ただし、このケースではデータモデリングまたはアプリケーション仕様が間違っている可能性があるため、データモデリングおよびアプリケーション仕様の見直しを行った方がよい。
以下に、適用時の実装例を示す。
Entityクラス
public class XxxEntity implements Serializable { private static final long serialVersionUID = 1L; // omitted @Column(name = "created_by") @CreatedBy // (1) private String createdBy; @Column(name = "created_date") @CreatedDate // (2) private LocalDateTime createdDate; // (3) @Column(name = "last_modified_by") @LastModifiedBy // (4) private String lastModifiedBy; @Column(name = "last_modified_date") @LastModifiedDate // (5) private LocalDateTime lastModifiedDate; // (3) // omitted }
項番
説明
(1)作成者を保持するフィールドに@org.springframework.data.annotation.CreatedBy
アノテーションを付与する。(2)作成日時を保持するフィールドに@org.springframework.data.annotation.CreatedDate
アノテーションを付与する。(3)作成日時を保持するフィールドの型は、java.util.Date
、java.util.Calendar
、java.lang.Long
、long
型 、Date and Time APIなどをサポートしている。最終更新日時のフィールドも同様。(4)最終更新者を保持するフィールドの型に@org.springframework.data.annotation.LastModifiedBy
アノテーションを付与する。(5)最終更新日時を保持するフィールドに@org.springframework.data.annotation.LastModifiedDate
アノテーションを付与する。Warning
@Type
アノテーションは、JPAの標準アノテーションではなく、Hibernate独自のアノテーションである。AuditorAwareインタフェースの実装クラス
// (6) @Component // (7) public class SpringSecurityAuditorAware implements AuditorAware<String> { // (8) public String getCurrentAuditor() { Authentication authentication = SecurityContextHolder.getContext() .getAuthentication(); if (authentication == null || !authentication.isAuthenticated()) { return null; } return ((UserDetails) authentication.getPrincipal()).getUsername(); } }
項番
説明
(6)org.springframework.data.domain.AuditorAware
インタフェースの実装クラスを作成する。AuditorAware
インタフェースは、Entityの操作者(作成者または最終更新者)を解決するためのインタフェースとなっている。このクラスはプロジェクト毎に作成する必要がある。(7)@Component
アノテーションを付与することで、component-scan対象になるようにしている。@Component
アノテーションを付けずに、Bean定義ファイルにbean定義してもよい。(8)Entityの操作者(作成者または最終更新者)のプロパティに設定するオブジェクトを返却する。上記例では、SpringSecurityによって認証されたログインユーザのユーザ名(文字列)をEntityの操作者として返却している。Object/relational mapping file(
orm.xml
)<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <entity-mappings xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm_2_0.xsd" version="2.0"> <persistence-unit-metadata> <persistence-unit-defaults> <entity-listeners> <entity-listener class="org.springframework.data.jpa.domain.support.AuditingEntityListener" /> <!-- (9) --> </entity-listeners> </persistence-unit-defaults> </persistence-unit-metadata> </entity-mappings>
項番
説明
(9)Entity Listenerとして、org.springframework.data.jpa.domain.support.AuditingEntityListener
クラスを指定する。このクラスで実装しているメソッドにて、Audit用プロパティに値を設定している。
XxxInfraConfig.java
@Configuration @EnableJpaAuditing(auditorAwareRef = "springSecurityAuditorAware") // (10) // omitted public class XxxInfraConfig { // omitted
項番
説明
(10)@EnableJpaAuditing
アノテーションのauditorAwareRef属性に、(6)で作成したEntityの操作者を解決するためのクラスのbeanを指定する。上記例では、SpringSecurityAuditorAware
という実装クラスをcomponent-scanしているので、springSecurityAuditorAware
というbean名を指定している。
infra.xml
<jpa:auditing auditor-aware-ref="springSecurityAuditorAware" /> <!-- (10) -->
項番
説明
(10)<jpa:auditing>要素のauditor-aware-ref属性に、(6)で作成したEntityの操作者を解決するためのクラスのbeanを指定する。上記例では、SpringSecurityAuditorAware
という実装クラスをcomponent-scanしているので、springSecurityAuditorAware
というbean名を指定している。
@CreatedDate
および@LastModifiedDate
アノテーションが付与されたフィールドに設定される値は、デフォルト実装だとorg.springframework.data.auditing.CurrentDateTimeProvider
のgetNow()
メソッドから返却されるjava.util.Optional
にラップされた値が使用される。
以下に、使用する値の生成方法を変更する場合の拡張例を示す。
// (1) @Component // (2) public class AuditDateTimeProvider implements DateTimeProvider { @Inject ClockFactory clockFactory; // (3) @Override public Optional<TemporalAccessor> getNow() { Clock clock = clockFactory.fixed(); Instant instant = clock.instant(); return Optional.of(instant); } }
項番
説明
(1)org.springframework.data.auditing.DateTimeProvider
インタフェースの実装クラスを作成する。 (2)@Component
アノテーションを付与することで、component-scan対象になるようにしている。@Component
アノテーションを付けずに、Bean定義ファイルにbean定義してもよい。 (3) Entityの操作日時(作成日時、最終更新日時)のプロパティに設定するインスタンスを返却する。上記例では、共通ライブラリから提供しているorg.terasoluna.gfw.common.time.ClockFactory
から取得したjava.time.Instant
をラップしたjava.util.Optional
を操作日時として返却している。ClockFactory
の詳細については、「システム時刻」を参照されたい。
XxxInfraConfig.java
@Configuration @EnableJpaAuditing(dateTimeProviderRef = "auditDateTimeProvider") // (4) // omitted public class XxxInfraConfig { // omitted
項番
説明
(4)@EnableJpaAuditing
アノテーションのdateTimeProviderRef属性に、(1)で作成したEntityの操作日時に設定する値を返却するクラスのbeanを指定する。上記例では、AuditDateTimeProvider
という実装クラスをcomponent-scanしているので、auditDateTimeProvider
というbean名を指定している。
xxx-infra.xml
<jpa:auditing date-time-provider-ref="auditDateTimeProvider" /> <!-- (4) -->
項番
説明
(4)<jpa:auditing>要素のdate-time-provider-ref属性に、(1)で作成したEntityの操作日時に設定する値を返却するクラスのbeanを指定する。上記例では、AuditDateTimeProvider
という実装クラスをcomponent-scanしているので、auditDateTimeProvider
というbean名を指定している。
6.3.3.4. 永続層からEntityを取得するJPQLに共通条件を加える方法¶
Note
想定される適用ケース
データの監査やデータの保存期間などの要件により、Entityを削除する際に、レコードの物理削除(DELETE)ではなく、論理削除(論理削除フラグのUPDATE)を行うようなアプリケーションが有効である。
このケースでは、アプリケーションとしては論理削除されたレコードは一律検索対象から除外する必要があるため、Queryひとつひとつに除外するための条件を加えるより、共通条件として指定した方がよい。
Warning
適用範囲について
この仕組みを適用したEntityを操作するすべてのQueryに対して、指定した条件が追加される点に注意すること。条件を加えたくないQueryが1つでもある場合は、この仕組みは使用できない。
6.3.3.4.1. Entityを取得するJPQLに共通条件を加える¶
Repositoryインタフェースのメソッド呼び出し時に実行されるJPQLに対して、共通の条件を加える方法を以下に示す。
Entity
@Entity @Table(name = "t_order") @SQLRestriction(value = "is_logical_delete = false") // (1) public class Order implements Serializable { // omitted @Id private Integer id; // omitted }
RepositoryインタフェースのfindByIdメソッドを呼び出した時に発行されるSQL
SELECT -- .... FROM t_order order0_ WHERE order0_.id = 1 AND ( order0_.is_logical_delete = false -- (2) );
項番
説明
(1)Entityのクラスアノテーションとして、@org.hibernate.annotations.SQLRestriction
アノテーションを付与し、 value属性に共通の条件を指定する。ここで指定するWHERE句の書式は、JPQLではなく、SQLで指定する必要がある。つまりJavaオブジェクトのプロパティ名ではなくカラム名を指定する必要がある。(2)@SQLRestriction
アノテーションで指定した条件が追加されている。
Note
指定可能なクラスについて
@SQLRestriction
アノテーションは、@Entity
が付与されているクラスでのみ有効である。つまり、@jakarta.persistence.MappedSuperclass
を付与した基底Entityクラスに付与してもSQLに付与されない。
Warning
@SQLRestriction
アノテーションは、JPAの標準アノテーションではなく、Hibernate独自のアノテーションである。
6.3.3.4.2. 関連Entityを取得するJPQLに共通条件を加える¶
Repositoryインタフェースのメソッド呼び出して取得したEntityの関連Entityを取得するためのJPQLに対して、共通の条件を加える方法を以下に示す。
Entity
@Entity @Table(name = "t_order") @SQLRestriction(value = "is_logical_delete = false") public class Order implements Serializable { // omitted @Id private Integer id; @OneToMany(mappedBy = "order", cascade = CascadeType.ALL, orphanRemoval = true) @OrderBy @SQLRestriction(value ="is_logical_delete = false") // (1) private Set<OrderItem> orderItems; // omitted }
関連Entityにアクセスした際に発行されるSQL(Lazy Load)
SELECT -- ... FROM t_order_item orderitems0_ WHERE (orderitems0.is_logical_delete = false) -- (2) AND orderitems0_.order_id = 1 ORDER BY orderitems0_.item_code ASC ,orderitems0_.order_id ASC;
Entityと関連Entityを同時に取得する際に発行されるSQL(Eager Load / Join Fetch)
SELECT -- ... FROM t_order order0_ LEFT OUTER JOIN t_order_item orderitems1_ ON order0_.id = orderitems1_.order_id AND (orderitems1_.is_logical_delete = false) -- (2) WHERE order0_.id = 1 AND ( order0_.is_logical_delete = false ) ORDER BY orderitems1_.item_code ASC ,orderitems1_.order_id ASC;
項番
説明
(1)関連Entityのフィールドアノテーションとして、@org.hibernate.annotations.Where
アノテーションを付与し、 value属性に共通の条件を指定する。ここで指定するWHERE句の書式は、JPQLではなく、SQLで指定する必要がある。つまりJavaオブジェクトのプロパティ名ではなくカラム名を指定する必要がある。(2)@SQLRestriction
アノテーションで指定した条件が追加されている。Note
指定可能な関連の種類について
関連Entityを取得する際のSQLに共通の条件を加えることができるのは、
@OneToMany
および@ManyToMany
の関連をもつEntityに対してのみとなる。Warning
@SQLRestriction
アノテーションは、JPAの標準アノテーションではなく、Hibernate独自のアノテーションである。
6.3.3.5. 複数のPersistenceUnitを使用する方法¶
Todo
TBD
今後、以下の内容を追加する予定である。
複数のPersistenceUnitの使用例。
6.3.3.6. Nativeクエリの使用方法¶
Todo
TBD
今後、以下の内容を追加する予定である。
Nativeクエリを使用したQueryの実装例。